「ヘッドフォンブック2011」特典 PIANO FORTE レビュー

さて、Final Audio Design社、PIANO FORTE(無印)です。
近所の本屋で取り置いてもらっていた為、これを買ってきました。
「ヘッドフォンブック2011」の堪能もそこそこに、早速のレビューと参りましょう。




まずは事前情報の整理を。
Piano ForteⅡ(当ブログ内のレビュー記事)とは異なり、雑誌付録であるためかピアノフォルテ(無印)は公式の事前告知が成されておりませんでした。
発売当日の12月14日になるまで、ファイナルオーディオデザイン(FAD)社公式HPも、同社公式Twitter:final_audioも無印には全く触れないまま。

ただ、参考になる情報は存在しました。
final_staffという同社スタッフによる公式Twitterがあったのです。
もちろん、final_staff氏もPIANO FORTE1(あるいは無印)について確たる言及をしているわけでは有りません。
しかしTwitterアカウント:syamisen_ringo氏との一連の遣り取りで、final_staff氏は興味深い発言をしています。

その発言を引用しましょう。
いずれもsyamisen_ringo氏からの問い合わせにfinal_staff氏が答えたものです。
『PIANO FORTEは非売品ですが、その後継品が先日より発売したⅡとなります。』(final_staff 12:32 Dec 11thのリプライ)
『付録については雑誌発売前なので詳細はお答え出来ませんがⅡはあくまでも販売用ですので付属するものとは別物です。』(final_staff 12:37 Dec 11thのリプライ)

この発言からすると、PIANO FORTEはPIANO FORTE Ⅱ(FI-DC1550M1)とは似ていても、世代を異にする機種のようです。プロトタイプなんでしょうか。
どの様に異なるのか、実機を見ていきましょう。

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箱自体は、かなり異なります。
PIANO FORTE Ⅱの箱に比して40%ぐらいの体積でしょうか。
また製品版とは異なり、保証書は付属しません。
しかし、キャッチフレーズは同じです。「音楽と対峙して聴く大人と演奏家のためのイヤホン。」
何度見ても良いキャッチフレーズですね。

スペックはといえば、感度108db、インピーダンス16Ω、ケーブル長1.2mと全くの同一性能諸元。
生産国表示はありませんが、同じくフィリピン製と考えて、まず間違いないでしょう。

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続いて、製品の外見比較です。
筐体の色は濃い茶色で、そこに黄色の板が張られています。
空気口の位置、全体の形状、ともに全く同じです。
ただ一点違いがありまして、それは筐体外面に張られた板の材質です。
ピアノフォルテ2が金属板を張っているのに対し、ピアノフォルテ(無印)はプラスチック、あるいは本体と同じ樹脂製の板のようです。
この板が音質に違いを及ぼすとすれば、ハウジングとしての機能差と思われます。

ハウジングとは、振動板及びドライバーユニットの外面を覆い保護する部品のことです。
ヘッドホンにせよスピーカーにせよ、音(空気振動)自体は振動板から出るのですが、これを保護し固定するハウジングの質によって、①振動板の制動力、②筐体自体の振動に違いが出てきます。
工業技術の進んだ現代では、①の振動板の固定の面ではそこまで問題は生じませんが、
(むしろ①はドライバーユニット自体の性能差として現れます)、②は現在でも重要なポイントです。

音が空気振動である以上、その震えによって筐体自体も少なからず震える事になります。
大音量で鳴らすスピーカーを想像してみて下さい、触って分かるほどにスピーカー自体が震えているかと思います。
この現象を共振現象といいますが、これは音を悪くする要因になり易いものです。
本来揺れることを予定していないものが揺れるのですから、音に妙な負荷がかかってしまう。
そこでオーディオ各社は、チタン、木材、アルミなどの素材をハウジングに用いて、筐体の振動を止めようとしました。
そうすることで、リスナーの耳に、ドライバーユニット本来の音を届けることができるからです。
Final Audio Designの出している超弩級スピーカー「opus 204」(価格50,000,000円)なぞは、7gの振動板の動きを約1トン/chものステンレス筐体で制動しておりますが、これはその極端な例と申せましょう。

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さて、外見の比較も済んだところで、実際に聴いてみましょう。
PIANO FORTE Ⅱ(FI-DC1550M1)、音出し200時間との比較です。
対するPIANO FORTEは音出し25時間程度なので、多分にエージング差がでるとは思いますが、その点はご了解下さい。

先日、PIANO FORTE2 レビューの際に「響きに優れた」イヤホンとの評価をしましたが、
本機PIANO FORTE(「ヘッドフォンブック2011」付属)も同様の感想です。
音がそこまで大きく広がるのでもないのに、楽器それぞれの配置は明確でそれぞれの音をしっかりと奏でている。
両者の違いをあえて言うならば、無印は華やかな音で、2は腰のある音といえます。
無印の場合、低音域と高音域がはっきり出て中音域が一歩下がった印象がありますが、これによって音にメリハリが付き、元気のある華やかな音になっています。
Ⅱの場合、中音域が音全体を引っ張り、低域・高域がこれに追随する印象で、聴き疲れをせず、落ち着きのある腰の据わった音になっています。

ただ、これはエージングで解決する可能性も無いわけではなく、
もし設計自体の改良があったとしても、恐らくは製品塗装、ハウジング素材などの筐体部分の変更で、内部の振動板、ドライバーユニット部分の変更ではなさそうです。
とはいえ、どちらもファイナルオーディオ社のダイナミック型特有の音場を持っていますから、
面白いものです。
ご興味がありましたら、お試しになっては如何でしょうか。

なお、PIANO FORTEシリーズは、装着位置によって音が大きく変わりますのでご注意を。
外耳道の入り口とイヤフォンの開口部をあわせるとスペック通りの音が出ますが、
ちょっと引っ掛けた程度で、外耳道の入り口とずれていたり、離れていたりすると、
途端に音がスカスカになり、全帯域がダマになったAMラジオの様な音になります。
ちょっといじってみるだけでも、音が結構変わりますので、いろいろと試行錯誤してみるのがオススメです。

それでは、また。

関連記事:ファイナルオーディオデザイン Piano Forteが雑誌付録に?
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by katukiemusubu | 2010-12-18 14:45 | Piano Forteシリーズ | Comments(3)
Commented by 外道僧侶D at 2010-12-18 15:49 x
長時間着けてた場合においてやっぱりインナーの方に分が上がりますかね~。
個人の耳の差にもよるかもですが。
Commented by katukiemusubu at 2010-12-19 00:53
外道僧侶D様

個人差もあるでしょうが、装着の快適さという点では、インナーイヤーの方が楽かもしれませんね。
特に、眼鏡着用者の場合、オーバーヘッドだと眼鏡のつると干渉しやすいですから。

ただ、オーバーヘッドでも側圧(頭を押さえる力)が適度なものであれば、干渉もあまり気になりませんから、結局は機器と個人との相性次第かと思います。
ぜひご試着の上、ご検討ください
Commented by 外道僧侶D at 2010-12-19 21:53 x
上からの押さえなら頭を剃っているのもあって楽なんですがね。

ちなみにBOSEさんのを考えていたのですが何故か友人のつてによりボーズに……
ちなみに手に入れたのはBOSE IE-S
やはり重低音最高。
しかしインナーの部分が一個傷んでいるので買わなければ。
扱いあるかな?
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