SONY HMZ-T1 レビュー(銀座ソニービル先行展示)

8月31日の発表以来、各所で話題になっているソニーのヘッドマウントディスプレイ HMZ-T1ですが、
9月10日より体験展示が東名阪のソニーストアで始まっています。
終了は発売前日の11月10日を予定とのこと。

今日は初日でしたが、早速見てきましたのでざっくりレビューなどをしてみたいと思います。

10月22日追記:
独カール・ツァイス社より有機ELパネル搭載、3D対応の競合機種Cinemizer OLEDが発表されました。
HMZ-T1との比較記事を上げておりますので宜しければご覧下さい。



試聴に出かけたのは銀座ソニービル。
他に大阪、名古屋でも視聴できるそうで、こちらではPS3のゲーム体験もできるそうです。
東京(銀座)は残念ながらゲームは無く、映像視聴のみですが、それでも十分な価値はありました。

ソニービルは11時開館ですが、ネット上での異常なまでの盛り上がりから混むだろうなぁと思い、
10時頃に四ツ谷を出て、10時20分くらいにソニービルに到着しました。
先客は10名くらい。自然に列の形成が始まっているようです。
取り敢えず列の後尾について、並び始めます。
そうこうする内に増える人、人。11時の開館時には列が伸びすぎて数寄屋橋交差点の南東角を埋める勢いでした。
都合、80人はいたでしょうか。

11時、ほぼ定時に開館。
一斉に人が殺到します。あくまで自然発生の列の宿命か、列の順序もぐちゃぐちゃに。
このあたりはソニービル側としても予測し得なかったことですから仕方ありますまい。
土休日は混雑するでしょうから、今後の改善が望まれます。

先行体験会の会場はソニービルの3階Dフロアにありました。
ソニービルはショールームを抜ける南階段とショールームを抜けない北階段がありますが、
一見、北階段のが近そうなので人はそちらに殺到します。
しかし、北階段が直結しているのは3階Cフロアで、展示のある3階Dフロアではありません。
一方、南階段はショールーム内の各フロアを螺旋状につないでいます。
そのため、会場への最短ルートはショールーム内の南階段を脇目もふらずに上っていくこととなりましょう。
その内列整理もでるでしょうけれど、混乱を避けたい方は、
正面入って右のソニータブレットの展示のあるショールーム側を上ることをお勧めします。
※9月11日追記:
ツイッター上を見ておりましたら、混雑についてソニービル側が対応し、
整理券配布&係員先導方式の入場となったそうです。これで初日のような混乱は無くなるものと思われます。


会場では4人が同時に体験できるそうで、人数ごとにフロアの奥にある半個室へと案内されます。
さして待たないうちに私も案内されました。
半個室に入ると驚くことに、しっかりとした作りのリクライニングチェアが4脚設置されています。
それぞれのチェアの脇にはサイドテーブルが置かれ、その上にHMZ-T1がセッティングされていました。
各席からみて丁度中央のあたりにテレビが設置され、ヘッドマウントディスプレイの装着方法の解説を流しています。
メインフロアからは遮光カーテンで隔絶され、部屋の間接照明も相まってちょっとしたアトラクション気分です。
人員の配置も贅沢で、チェア一脚につき一人の説明員がつき、装着などのアシストをしてくれます。
さらにもう一人、司会の方が配置され、装着方法、これから流すムービーについての解説をしてくれました。

3分ほどの解説を受け、いよいよ装着、試聴です。各人の装着が終わると照明がフェードアウトし、ムービーがはじまります。
装着は思いの外、簡単に出来ました。
私は裸眼視力が弱いため眼鏡を着用しているのですが、眼鏡のままで特に問題なく装着できます。
説明員の方に確認した処、近視の人はともかく、遠視や乱視が入っている人の場合には、
HMZ-T1にピント調整機能がないため、眼鏡着用での装着をお勧めするようです。
眼鏡着用ですと、筐体と干渉するのではないかという不安があろうかと思いますが、
通常のサイズの眼鏡でしたら問題ないかと思います。
ただし、筐体のサイズを大きく越えるような古めかしいデザインの眼鏡ですと、干渉がおこり圧迫されることがあるそうです。

装着は実に簡単です。
まず、筐体上部にあるリリースボタンを押し、ヘッドバンドを緩めます。
次に、ヘルメットのようにHMZ-T1を被り、おでこのクッションを軸に丁度良い位置を見定めます。
そうしたら、ヘッドバンドの分岐する辺りをもって、左右ともに筐体側に押し込みます。
筐体にはロック機構がありますので、ヘッドバンドが固定されます。
あとは、バンドを動かし、右側の調節機構などを用いて上下左右を整えて完成です。
はじめてでしたので30秒ほどかかりましたが、慣れれば10秒もせずに装着できることでしょう。

この他、HMZ-T1には目の幅に併せてレンズ位置を変えられるようにできるダイアルがありますので、
これを用いて両目の間隔に沿った、都合の良い位置に合わせられます。
しっかりフィッテイングしているのに視界の端がボケている場合には大概こちらが原因ですので、すこし動かして調節してみると宜しいかと。
ヘッドホン部については、上下左右に動きますので、耳の中央にかぶせる様にすると丁度良いフィッテイングが得られます。
重量は420gあるはずですが、装着した状態で首を比較的激しめに動かしても外れることは有りませんでした。
少しきつめに締めるのがコツのようです。手を離しても問題なく、後頭部とおでこ、頭全体でがっしりと固定できます。
また重さもさして感じません。少なくとも頭の重心が著しく前を向くことはなさそうです。

さて、9月10日銀座の視聴ムービーは、2012年公開予定のソニー・ピクチャーズの映画「アメイジング・スパイダーマン」の予告編です。
時間は2分30秒くらい。3D映像での視聴でした。
同映画の公式ページに同じムービーが2Dでアップされているので、ご覧いただければわかるのですが、
このムービー、NYの夜景空撮から始まります。
驚かされるのは、黒の沈み込みの見事さです。液晶のなんだか浮ついた、偽物くさい黒と違って、ビルの影と街の光り、その対比が実在感をもって迫ってきます。
流石は有機ELといったところです。
また映画の予告編ということもあり、画面比率が通常のワイド(16:9)ではなくシネマスコープ(2.35:1)で横長なのですが、
表示されない上下の部分も黒浮きせず、シネスコスクリーンでみているようなコントラストです。
漆黒の空間に、画面だけが浮いているように見えます。
有機ELは開口率が低いためか、静止画状態ではドットの格子が見えてしまいますが、実際動き出すと殆ど気になりません。
予告編の後半に展開される激しいアクションシーンも全く遅延を感じさせること無く、描き出してくれます。
このあたりも反応速度が液晶の100倍もあろうかという有機ELならではでしょう。
当然ながら残像感なぞ全く感じません。

HMZ-T1の謳い文句は「20m離れた位置から750インチのスクリーンを見ている状態」を実現することですが、これについては如何でしょうか。
私は日立・島津製作所の共同開発ウェアラブルコンピュータWIA-100NBを2003年頃から使っているのですが、これはHMDを採用しており、HMDにも比較的慣れております。
HMD、すなわちヘッドマウントディスプレイは多々ありますが、これらが共通して売り文句にするのが「◯◯m先での××インチに相当」 という言葉です。
HMDは小さい画面をレンズによって拡大させて、映像を見せているわけなのですが、
その拡大により脳に錯覚を与えて、本当は小さいはずの画面を××インチと認識させようとします。
しかし、脳というのはなかなか優秀なもので、画質が悪かったり、レンズの質が悪いとうまく騙されてはくれません。
少なくとも、私のいままでみてきたHMDはそうでした。
しかし、HMZーT1は違います。私の脳はまんまとダマされてしまったのです。
言うなれば、600席はあろうかという大スクリーンの映画館の最後列から画面を見ているような心地。
もちろん脳は人それぞれですから個人差があろうかと思いますが、私はそう認識しました。
謳い文句に違わない性能をもったHMDに会ったのは初めてです。
私は東芝のTDP-ET20というプロジェクターを使って、自室に80インチのホームシアターを構築していますが、これよりも大きく、迫力を伴って見えるシーンが多々ありました。
HMZーT1はフルHDではなくHD画質ですが、文句のつけようがなく綺麗です。
食べ物の発色など、まるでそこにあるかの様。
この画質とカメラグレードの光学系がうまく錯覚を起こさせてくれているのでしょう。

もう一つのHMZ-T1の売りはデュアルパネル3D方式による高純度3D映像の実現でした。
これも上手くいっているように思います。
普通、テレビでもHMDでもそうですが、モニターというものはひとつの画面があってそれを両目で見るのが通常です。
3Dは両目の視差を利用して立体感を表現しようという試みですから、ひとつの画面で3Dをみようとするならば、右目、左目用の画像を高速に切り替えなくてはなりません。
といっても目の性能もさるもの。高速切替に気づいていしまい、右目が左目用の映像を認識してしまったり、その逆もあったり、結局3Dは違和感ある映像として認識されてしまいます。
これをクロストーク問題といいますが、HMZ-T1は実にシンプルな方法でその問題を解決しました。
つまりはひとつの画面を高速切替するからいけないのであって、右目用、左目用、それぞれにディスプレイを用意してしまえば良いのです。
こうすれば、目が違和感を感知すること無く、3D映像へと没入できます。
事実、HMZ-T1では一瞬3Dだとは気付かない程に自然な立体感が表現されます。
日常的なシーンでは殆ど気付かないのですが、激しいシーンでは思わずのけぞる程の迫力。
予告編の最後に、スパイダーマンが摩天楼を駆け下りるシーンがあるのですが、つい「おおっ!」と声を挙げてしまいました。
見事な没入感だと思います。

また意外だ、と感心したのはヘッドホン部の音質。
正直言って、イヤホン端子でも他につけたほうが良いのではないかと思っていたのですが、試聴してみて考えが変わりました。
これはこれで十分な完成品です。
VPTによるバーチャルサラウンドが上手く働き、音が駆けまわる立体感が良くつかめます。
流石に3万円以上の高級ヘッドホンと比べるのは酷ですが、低音域から高音域までバランスよく出力され、1万円程度のヘッドホンならば問題なく比較対象とできそうな音質でした。
ただ一つ難点があって、少々セッティングがピーキーです。
上手く耳道に合わせられれば、なかなかに良い音なのですが、すこし外れてしまうだけでスカスカな低域になりバランスの悪い音になってしまいます。ご視聴の際は視界のほか、ヘッドホン部にも注意されるとよろしいでしょう。

そんなこんなで7分ほどのHMZ-T1の発売前先行展示を終えました。
後はアンケートに記入して終了です。
試聴を終えて、ソニービルを歩いていると先行展示待ち列の長いこと長いこと。ビル中を満たす勢いです。
なんと7時間待ちにもなって人が詰めかけていました。
当分は混雑が予想されますから、もしご試聴の際には、朝一に開館30分くらい前から待機なさることをお勧めします。

ともあれ、HMZ-T1の試聴でした。
なんだか昔夢見た「未来」がいつのまにか現実になっていて、「ああ、ここは未来だったんだ」と、はたと手を打つ体験でした。
たかだか7分程度の体験でしたが、充実したものだったと思います。
HMDの没入感や画面の大きさは個々人の脳の認識によって大きく異なりますので、購入をご検討の方は一度体験してみることをおすすめします。
平日や11月頃にもなればショールームも空いてくるでしょうし、一度ご覧になってみては如何でしょうか。

9月11日追記:
説明員の方にいろいろと質問をしていたのですが、
ソニーストア(旧ソニースタイル)でのHMZーT1の予約開始の見込みは、「発売日近くになってから」とのことでした。
激戦が予想されますので、先に他のどこかで予約したほうが良いのかも知れませんね。
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by katukiemusubu | 2011-09-10 23:59 | ヘッドマウントディスプレイ | Comments(4)
Commented by Hero HONDA at 2011-09-11 14:17 x
いつもながら見事な感想にて。
HMDもようようある程度のLvまで来たみたいですねぇ。
あとは気になるお値段……。
これが一般Lvまで普及するのにはもうちょいかかりますかね?
Commented by katukiemusubu at 2011-09-11 16:02
Hero HONDA様 コメントを有難うございます。
HMZ-T1の実勢価格は6万円なんですが、これは長年HMDに触れてきた人間にとっては奇跡のような価格です。
初の有機EL、HD解像度、3D対応のデュアルパネル、サラウンドヘッドホン。これだけのものをつぎ込んでおりますから、コンセプトモデル発表時には価格は15万円くらいかなと思っておりました。
ここまでクオリティを落とさず、しかも低価格で製品化を実現したソニーにはただただ感服するのみです。
しかし一般的な観点からは、6万円でもやはり高いのかも知れませんね。
HMZ-T1がヒットして、更なる市場が生まれる事を祈るばかりです。
Commented by ともひろ at 2011-09-11 21:09 x
hmzで検索したらここにたどり着きました。始めまして。
自分も今日体験してきました。
ヘッドホンの音質いいですよね!!だめだという人は位置調整が甘いのではと思います。
同じ意見を書いてる方がいたので書き込みました。
hmz最高!
Commented by katukiemusubu at 2011-09-11 21:44
ともひろ様  はじめまして。コメントを有難うございます。
ヘッドホンの音質、私もなかなかの物だと思っています。
私の場合、つけ始めの際に位置調整をミスしておりまして、
初めはスカスカな音がしてしまい、「こんなものか・・・」と落胆しておりました。
しかし、それに気づいた説明員の方が位置を直してくれて、音の良さに驚いた次第です。
HMZ-T1、いい機械ですよね。はやく手にしたいものです。
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