春のヘッドフォン祭り2012 長文雑感(感想レポート)

フジヤエービック主催の春のヘッドホン祭り2012へ行って参りました。
年々盛況さを増すヘッドホン祭りですが、今回は10時20分の開場10分前にして、既にスタジアムプレイス青山を囲む程の人が詰めかけていました。
今回は前回と異なり、取り立てて目的を持たずに出かけたので、訪れた各ブースごとに所感・レビューを記しておこうかと思います。
1万字超のボリュームが有るため、お読みになる際は、少々お時間を頂戴するかもしれません。

なお、別記無い限り、使用ヘッドホンはオーディオテクニカ・ATH-W2002、使用プレーヤーはBANG&OLFSEN・BeoSound2です。
同じくヘッドフォンアンプ試聴に際しては音源として、ビクター盤「現代日本の音楽名盤選5」より伊福部昭作曲・若杉弘指揮・読売日本交響楽団「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」を用いました。

9階

デノン新製品発表会
ヘッドホン祭りのデモムービーでも話題になっていた、DENONの新型ヘッドホンです。
デノンは従来AH-D5000やD7000等の木のヘッドホンをオーディオファイル向けヘッドホンとしてラインナップしてきましたが、
2012年夏より新たにライフスタイル提案型のヘッドホンをラインナップしていくとのことでした。
今回発表されたのは高音質路線の「Music Maniac」シリーズ。
まだ型番は不明ですがヘッドホンAH-DXX(正式型番AH-D600EM)、イヤホンAH-CXX(正式型番AH-C400)が発表されました。
AH-D600EMは白黒の配色が目を引く、FRP素材で形成された50mmドライバーのヘッドホン。
音はAH-D7000などから大きく印象を変え、制動感有る低音が特色です。音場はこれまで以上に広大になり、密閉型らしからぬ音の広がり方をします。
AH-D600EMはヘッドホンにしては珍しく振動板を宙に浮かせたフリーエッジ構成を採っていますからその賜物やも知れません。
高域の減衰感や美しさはD7000の方が有利な印象。
D&Mの上田氏によるとAH-D600EMの予定価格は「3〜5万円」程度で、D7000なども直ちに生産を停止するわけでは無いそうです。
当面のフラッグシップ機の地位はAH-D7000のままという事になりましょうか。
→7月12日追記:
新フラッグシップAH-D7100EMが発表されました。マホガニーハウジング仕様、FRP筺体、D600EMと同じくフリーエッジ仕様、50mmナノファイバー振動板搭載。予想価格は12万円ほどとの事です。

D600EMのイヤーパッドは五角形で、360度のボールマウントにより各人の顔かたちに適合した装着感を実現しています。
試聴列に並んで装着している方々を見ていると、流線的な形状のFRP筐体が近未来感を感じさせてくれました。

一方、AH-C400ですが、こちらは亜鉛ダイキャスト製、フルレンジBAドライバーを2機搭載したイヤホンです。
設計を担当したD&Mの田村氏にお尋ねすると、AHーC400では高音の表現に着目したそうですが、それも納得させられる音質で、弦楽四重奏の表現などBAドライバの繊細さが活かされる音源において実に魅力的な鳴り方をします。
フルレンジ(全帯域を出力できる)BAドライバーを二つ積んでいるだけ在って、音像がへたらず、芯のある鳴り具合です。
低音はそこまで強くありません。ダイカスト筐体によるものか、響きも適度な範囲に抑えられ、すっきりとした音調でした。
ダイカスト筐体の他、3種のチップが付属することも好感が持てます。特に通常の2倍という肉厚なシリコンチップは少々固いものの遮音性に優れており印象的でした。
AH-DXXにしてもAH-CXXにしても2012年夏の発売に向けて現在開発途上であり、音の出来上がり程度は8割程との事。今後の更なる向上に期待です。
両方共、本型の黒と赤のツートンカラーの外箱が付属するそうで、この箱自体もなかなかに格好良いものです。



ビジョンホール(ヘッドフォンアンプ試聴会)

フェーズメーション

PhasemationではEPA-007を試聴しました。解像感豊かで、音場も適度に広い。
全段に渡ってオペアンプを用いずにディスクリート構成を採っているせいか、音に枯れた印象がなく、大変活きが良いというか鮮度のある鳴り方をしていました。
特に弦楽器の倍音成分が顕著に感じられます。
かと言って演出的か否かと問われれば、モニター的。妙な癖もなく安心して聴けるアンプリファイアーです。
ダンプコントローラーにより音の硬さをある程度操作できることにも好感を覚えました。
対応して下さった会社の方のお話によると、EPA-007は部品の一部が生産終了となり、長くは作り続けられないかも知れないとの事。
制動力を補正するダンプコントローラー付きのアンプは珍しいので、購入を考えるのも一手やも知れません。

ORB
オーブではポータブルヘッドホンアンプJADE to go JAPANを試聴しました。削り出しアルミの筐体に本漆塗りを施したその姿はなかなかに美しいもの。
その端正な外見とは裏腹に、音は大変元気があります。
低音域が力強くブーストされ、中高音は豊かな低音の中から浮かび上がってくる心地。こうしたギャップも良いのかも知れません。
肩肘張って謹厳に拝聴するというよりは、楽しくノリよく聴けるアンプという印象を受けました。

オーディオデザイン
Audio DesignではDCHP-100を試聴しました。写真ではどうなんだろうかと思っていた、前方2本の円柱ですが、実物を見てみるとなかなか整った印象を受けます。価格は224,700円。
DCHP-100というと円柱とアッテネーター(ボリューム)に目が行きますが、このアッテネーター、なかなかどうして大したものです。
オーディオ機器においてアッテネーターは音に対する抵抗器としての役割を果たしますが、下手な抵抗器で電気信号を絞ってしまうと、音に余計なノイズが入り込み音質が悪化してしまいます。
抵抗の影響は特に高音域において顕著です。悪質な抵抗は高音の伸びを著しく阻害します。
逆に良質な抵抗器であれば、電気信号に雑味を含ませること無く、忠実かつ加工の程度の少ない表現が可能になります。
ですからアンプにおいて増幅部分と同時に抵抗器も重要な役割を果たすわけですが、DCHP-100はその利点が良く現れていました。
天井知らずと言うべきか、大変伸び伸びと綺麗に鳴る高音域が印象的です。
後にスペックをお尋ねするとまさしく驚異的。ストレートモードで3.6MHzまで出ているそうです。
音場は適度な広さで、大編成管弦楽を聞いていても音の定位・配置に違和感を覚えません。
流石にアッテネーターにコストが掛かるらしく、またヘッドホンに対してはある意味オーバースペックでもあるので、回路をほぼそのままにアッテネーターのみを変更したヘッドホンアンプDCHP-80(価格15万円)も出されたとの事でした。

ニューオプト
newoptでは新型機KH-08Nを試聴しました。アンバランス出力も可能ということで通常のヘッドホンをつなげての試聴です。
予定価格は35万円前後との事。
KH-08Nは回路構成の点ではKH-07N(33万円)とほぼ同じとのことですので、アンバランスの音としてはKH-07Nと似通ったものかと思われます。
KH-08Nを聴いて驚かされるのはその圧倒的なまでの音場の広さです。
一聴瞭然とはこの事だと言わんがばかりの広大さに惹きつけられます。
音のバランスとしては中音域が豊かな印象ですが、低音域、高音域も高解像で引けを取るものでは有りません。
全体域に渡って音の分離が明確で、大変見通しの良い音です。あまりの見通しの良さに試聴時には「おお・・・」と声が出てしまう程。
ホールの残響感から、弦のビブラートまでよくよく捉えられており、細かな表現まで逃すことがありません。
音調としては中音域が基調となる為か比較的暖かみ有るふくよかな音調に感じられました。
入力はアンバランスRCAのみというシンプルな構成。その増幅に徹するという姿勢に好感が持てます。

8階

RATOC
ラトックシステムは最近発表されたDAC・ヘッドホンアンプのRAL-24192DM1の展示・試聴などを行なっていました。
先日展示のあったHDMI-DACは、今回は出品されませんでした。次回の出品に期待したい処。

STAX
スタックスは現行ラインナップの他、ポータブルヘッドホン・システムの次世代機を参考として展示。
付属のドライバーユニット(ポータブルアンプ)は、旧システムSR-001Mk2の鋭角的なデザインから大きく形状を変更。丸みを帯びた直方体状のデザインになっています。
新ドライバーユニットのモックアップに付された型番もSRM-001から「SRM-002」に変更され、新システムSR-002(型番は未定だそうです)の到来の予感させます。
会社の方に旧システムとの違いをお尋ねすると、「イヤースピーカー部の振動膜から、ドライバーユニット部の中身まで、ほぼ全ての部品を見なおしています」との事。
SR-001シリーズはSR-007A(Omega Ⅱ)・SR-009以外では唯一の円形振動膜を採用したモデルで、フラッグシップ機譲りの低域の充実が魅力的な機種でしたが、次回はどんなモデルになるのか期待が膨らみます。
2012年秋の発表を予定し、価格帯は3〜4万円くらいだそうです。
ポータブル次世代機の投入は、STAXと中国・漫歩社有限公司との提携発表当時から噂されていましたが、ついにお目見えです。

Ortofon
オルトフォンは現行ラインナップの他、投入を予定しているポータブルアンプ「MHd-Q7」の展示・試聴をしていました。
MHd-Q7はステレオミニ入力のステレオミニ出力というシンプルな構成。
どの帯域にも癖がなく、大変クリアな音質です。バランスとしてもほぼ平滑で、少しだけ中音域にピークを感じます。
同社は据置ヘッドホンアンプHdーQ7を出していますが、MHdーQ7はHd-Q7の型番をそのままに「M」(mobile?)の名称を付けただけあり、Hd-Q7譲りのバランスと抜けの良さを持っているように思われました。
FURUTECH社のCruiseにも似た音質です。解像感も同程度の高さ。
現状は試作段階で、製品版の筐体デザインが公開されていましたが単なる箱型ではなく、斜線を生かしたデザインで新鮮味があります。

7階

ミックスウェーブ
MixWaveではイヤーモニターやAUDEZ'EのLCDシリーズ、ALOのアンプなどの展示・試聴を行なっていました。
その辺りにはさして食指が動かなかったのですが、ブースの隅っこに最近見掛けることがないメーカー名が一つ。アメリカ「Red Wine Audio」です。
Red Wine Audioはバッテリー駆動の据置アンプの製造で知られたメーカーでして、一時期同社のDAC&ヘッドホンアンプ複合機「Isabellina(イザベリーナ)」が日本にも輸入されていました。
オーディオを食に例えれば、食事の原材料・素材となるのが電気です。素材の品質が良ければ良いほど料理の質も上がり易いように、電気の質も良いことに越した事はありません。
その意味では、行き過ぎたオーディオファイルの末路として挙げられる「電気会社コピペ」や自家用電柱を立てる人の話なども、あながち嘘ではないのです。もちろん、その違いが可聴的なものかは疑問がありますが。
ともあれ、電気の質にこだわりだすとコンセントから電源ケーブル、昇圧系統に至るまで様々なアクセサリーに気が向くことになります。多数の手段でもって電源に入り込むノイズを限り除こうとする訳です。
それはそれで楽しい趣味だとは思いますが、こうした問題をバッテリー駆動は無効化します。
通常の電気系統から隔絶され、電気の発生源との距離が限りなく近いバッテリー駆動はそもそも電気に余分な干渉が入り込む余地がなく、乱れることがありません。
当然電源ノイズもほとんど無いものとなります。
その結果提供される音は、新鮮であり、かつ驚くほどにS/N比が高い。ノイズが入らないため非常に静かなのです。
この静かな空間に対し、よく練りこまれた増幅回路でもって音を投入してやれば、雑味のない音源そのものの曲想を味わうことが出来ます。
先ほどの食事の例で言えば、バッテリー駆動のアンプとは、流通経路を介さずに自家栽培の食材を調理・提供するレストラン、と言ったところでしょうか。
ともあれRed Wine Audioの静かな空間は大変魅力的なものでした。
しかし日本ではあまり目立たず、ヨドバシアキバ店に「Isabellina」が置いてあったくらいなもの(確か売価28万円くらいだったかと思います)。
米国ではDAC部を24Bit/192kHzに進化させ、増幅段に真空管を用いた新Isabellina HPAも登場し、他にもCorvinaなどヘッドホンアンプに特化した製品も出始めていたというのに、わが国では全く音沙汰が有りませんでした。
仕方ないからそのうち個人輸入でもしようかしらん、と思っていたところに今回のヘッドホン祭りです。
ミックスウェーブブースには新IsabellinaのほかCorvinaも配置されていました。
驚いて会社の方にお尋ねすると、Red Wine Audioのラインナップを夏ごろから投入していくとの事。
個人的には春のヘッドホン祭り2012で最も衝撃的で喜ばしいニュースでした。
Isabellinaはバランス駆動ヘッドホン対応モデルが30万円程度を予定、他にもアンバランス対応の通常モデルもラインナップする予定との事です。
米本国でのIsabellinaの価格が$2,500、バランス対応モデルの価格が$3,000ですので適正な価格と申せましょう。

白髪犬工房
白髪犬工房では手作りのイヤホン「狗✕SHIKI Model No.2」の展示・試聴を行なっていました。
バランスドアーマチュアを2基、ダイナミックドライバーを1基搭載した3way構成でオールステンレス製、詳細は白髪犬工房さんのブログ「本日は玲瓏なり」に出ています。
5月15日22時よりツイッター上で受付を開始し、20台限定生産とのこと。価格は78,000円。
バイアンプ仕様にもオプション対応し、BA・ダイナミックをそれぞれ別のアンプで駆動させることが可能との事でした。バイアンプ仕様はスピーカーでは比較的よく見かけますが、イヤホン・ヘッドホンでは殆ど見かけず珍しいものです。
それぞれを単独駆動させることで電気系統が独立し、ノイズや電気干渉の低減が望まれます。
また低域と中高音域の音響バランスを自分好みにできるのも利点かも知れません。
ノーマルバージョンの試聴機を聴きましたが、太い低音と繊細な中高音が魅力的。
そこまで解像感が高い訳ではありませんが、低域を基調としつつも中高域が際立ち、メリハリがある為、長く聴ける機器であるとの印象を受けました。

エミライ
エミライオーディオでは新作のヘッドホンアンプGEM-1(G Ride Audio社)を試聴しました。
このGEM-1、ヘッドホンアンプとしては殆ど前例のない50万円超のアンプです。通販価格728,000円。
はじめに備え置きのゼンハイザー・HD600で聴かせてもらった後、手持ちのヘッドホンで試聴。
はじめHD600で聴かせていただいたのは、XRCDのサンプラー2。
全帯域に渡って強い押出しのある音が特徴的で、音場の広さは少し広い程度か。HD600の換装済みケーブルによるものか、それともアンプの力なのか、非常に艷めいた鳴り方をします。
残響感をしっかり拾い、しかもそれを強く聴かせてくれるので、音の余韻が艶となって聴こえるのしょう。
低音域がすこし扁平なのが気にかかりましたが、絢爛豪華な音に仕上がっています。
次に手持ちのCDに変更し、手持ちのヘッドホンにて試聴。
開始2分ほどで一旦、試聴を止めました。手持ちのヘッドホンATH-W2002は密閉型ですが、GEM-1の力強いドライブの為か、高音が強く刺さって聴こえるのです。
弦楽器の演奏において、無理に弓を動かすと聞けたものではない高音が出る場合がありますが、残念ながらそれにも近しい強調感。
ATH-W2002はもとより中高音に特徴を持つ機器なのですが、その特徴が欠点となって強く引き出されてしまった印象です。
音場もプレーヤー直挿しに比べて逆に狭くなった様に思えました。
ここまで同一音源、同一ヘッドホンでアンプの試聴を回ってきましたが、こうした事は一切無く、これはどうしたことかと考察しきり。
そこで 備え付けのHD600に換えさせてもらって、再度、同一音源で試聴しました。
すると成る程、全帯域に渡る強調感はあるものの、それが良い方向へ働き、クレッシェンド部の迫力がよくよく伝わってきます。
音場はATH-W2002では近くに固まっていたものが、HD600ではよく解け、コンサートホールそのものでは無いものの、それなりに広い印象。
両ヘッドホンに共通して、解像感はそれなりに高く、それぞれの音が力感をもって出力されています。演出的か否かと問われたら、演出的な印象。
しかし、それが悪く働くこともあり、接続機器を選ぶヘッドホンアンプなのかも知れません。
少なくともATH-W2002では欠点ばかりが引き出されてしまい残念な音でした。一方、HD600ではそういう訳でもない。
会社の方にお尋ねすると、GEM-1の音決め・テストにはHD600が用いられたそうで、その辺りが要因なのかも知れません。
試聴機に備え置かれていたHD600のケーブル換装仕様の発売予定も有るそうです。


ファイナルオーディオデザイン
Final Audio Designでは最近発売されたBA搭載機「Heaven Ⅳ」をはじめ、現行ラインナップ各種を展示・試聴していました。
期待のステンレス削り出し2wayヘッドホン「MURAMASA Ⅷ」は今回、出品されず。
会社の方にお尋ねすると、夏ごろの発売を検討しているそうで、価格は60万円前後、受注生産に近い形態を取るかもしれないとの事でした。
ファイナルオーディオデザイン社のMURAMASAの紹介ページは「大きく、重く、高価」という(開き直ったとしか思えない)謳い文句の他、ケーブル脱着式、ヘッドホンスタンドなどの詳細も更新されてており、一見の価値ありです。
その他、BA2基搭載のイヤホン試作機が展示されていたそうですが、残念ながら聞き逃してしましました。
Piano ForteⅨについては、近く1年を通じて使ってみた感想を第4弾レビューとしてアップする予定です。

CAV JAPAN
CAVジャパンではSOUL by Ludacrisのヘッドホン・イヤホンの他、同ブランドのBluetooth対応機「Run Free」を展示していました。
「Run free」は展示のみで試聴は出来ず。
はじめCAVのブースに立ち寄る予定は無かったのですが、通りがかりに面白いポータブルアンプを見かけたので急遽立ち寄ることに。
CAVの新ブランド「BuruTta」の試作ポータブルアンプです。橙と黒のツートンカラーが目を惹きます。
まだ試作も試作の段階だそうで、ギャングエラーも激しい様相です。
一聴してみたところ、物凄く太い音が特徴的。解像感だとか分析的なことはさておいて、音を単純化し、すっきり・ハッキリと出すことに着目した印象です。
意図的に低域・高域を張り出させた音作りを指向しているらしく、背筋を正して聴くというより、リズム感豊かに楽しむためのヘッドホンアンプに感じました。
BassBoastボタンをオンにすると、まさしく圧巻で、滝のような量感を持って低音が押し寄せてきます。
かなり低い領域の音までブーストされており、重低音好きには堪らない出来映えです。
いわゆるリスニング向けのアンプでは有りませんが、こういった選択肢が有るのも良いことですね。
今後の発売を目指し、これからも改良を進めていくそうですが、最後に会社の方から「どのくらいの販売価格が良いと思われますか」と訊かれました。
「量販店価格で19,800円ぐらいが良いのではないでしょうか」と回答。

音茶楽
音茶楽では6月2日に発売を予定している対向結合ダイナミック型イヤホン「Flat4-粋」を展示・試聴・先行販売していました。
先行販売品は10点限定で即日完売。変わったブランド名は音楽の間にお茶をという着想から生まれたそうです。
ダイナミック型ドライバーを対向的に配置する水平対向方式は、時折スピーカーで見かけますがイヤホンとして実用化されたのは今回が初めての事ではないでしょうか。
スピーカーにおける対向エレメント配置といえば最近、英国KEFから超弩級スピーカー「Blade」(税込315万円)が発売されました。
この方式の利点は、ドライバーを対向的に配置することで、互いのドライバーから生じた不要振動を打ち消し合い、雑味のない音響表現が可能になることです。
特に振動が大きい低域においてその利点は良く発現され、1桁Hzからの重低音域を明確に再生することが可能になります。
そのため、Flat4-粋の周波数帯域特性は非常に広く3.5Hz~35kHz。
更に開放的な構造を取るスピーカーにおける対向配置とは異なり、Flat4-粋では一旦、密閉された液晶ポリマー製の筐体内に音が放射され、位相補正チューブを通じて両ドライバーの音が掛け合わされるため、中音域の音も豊かになり、低域から中域まで非常に芳醇な音を出してきます。
それに加えて、高音域において阻害要因となりやすい音響抵抗を排除しているために、伸び伸びとした高音域が実現されています。高音域の量感は低中音域に比べれば少なめです。
エンジニアリングプラスチックを超え金属に近しい剛性を持つ液晶ポリマーの性質ゆえか、筐体が音を上手く反射し、イヤホンとしては大変広い音場を持っているとの印象を受けました。ATH-CK100PROの広大な音場に迫る勢いです。
解像感はBA機に比べると弱めですが、しかしこの音響は魅力的です。
非常にパフォーマンスに優れており、春のヘッドホン祭り2012で聴いたヘッドホン・イヤホンの中でも一番感銘を受けた機種でした。
価格は33,000円で日本製。フジヤエービックでの取り扱いの他、経堂の音茶楽での店頭販売もあるそうです。

WAGNUS/宮地商会 M.I.D
WAGNUS.ではToneflakeとの共同開発ヘッドホンアンプ「Bialbero」の試作機を展示。
ポータブル機で電池2本駆動、現状で6~7割の仕上がりとの事でした。
Bialbero、といえばイタリアの競技自動車専業メーカー・アバルト(蠍のマークで高名)がフィアット600をベースに開発した一連の車種を思い出します。
これらに搭載されたエンジン・ユニットの名称がビアルベーロでした。
Bialbero、その意味するところはイタリア語で「bi(=ふたつの)」「albero(=軸)」。
いわゆるツインカムシャフト(またはダブルカムシャフト)・エンジンの事です。
ダブルカムシャフトは吸気と排気を分かつことが出来、それぞれの系統を直接に制御できるため、エンジンのストレートな高回転・高出力化を可能出来るシステムです。
ビアルベーロユニットは小振りながらよく練り上げられたエンジンユニットでもって60年代のGTレースを席巻し、アバルトにマニュファクチャラーズタイトル(最優秀製造者賞)の栄光をもたらしたのです。
さて、自動車の話から引き戻しまして、アンプのお話。
その名を引き継いだかどうかは不明ですが、ポータブルヘッドホンアンプBialberoは非常に明瞭な音でもって聴く人を驚かせてくれました。
試作段階で再生可能周波数帯域が100kHzを超えているという、そのレンジ感は非常に良好。
低域から高域、どの帯域についても寸詰まりを感じさせません。
音場はそこそこに広く、比較的音場が狭いと言われるAudio Technicaのヘッドホンでも小型のホールに居るかのような心地。
直挿しに比べて音場が広くなったことがはっきりと認識できます。
駆動時間は最近のヘッドフォンアンプにしては短めの4-6時間。
その分、電力がふんだんに供給されているのか、一音一音が量感を伴ってドライブされています。
とは言え、強調しすぎることはなく、むしろ音を明確に分離させる方向に働き、解像感を上げている様な印象を受けました。
弦楽器のデクレッシェンド部やボーカルの表現においてそれは顕著で、一節が終わりに近づき、振幅や声を徐々に落としていくあたり、音が減衰していく様子が最後まで綺麗に把握できます。
演出的かモニター的かと言われればモニター的。艶や響きといった付加音は殆ど乗せることがなく、その意味では硬めの音調と言えるかも知れません。
他のヘッドホンではどうだろうか、と思い立って開放型のPhilips Fidelio L1で再び試聴。
音の解像感・明瞭さは変わらないままに音場が大きく広がります。W2002の時に比べてすこし低域が強まったような印象。
Fidelio L1は豊かな中低音と広大な音場感が魅力的な機種ですが、ビアルベーロはヘッドフォンの個性にも上手く追随する様です。
こうした付帯音や癖の少ない増幅を行うポータブルアンプとしてはADL Cruiseが有りますが、こちらに比べて一音一音がクッキリと出て来る具合でしょうか。
ネット上(WAGNUS.のUstream)での先行発売が予定されおり、こちらの予価は39,800円、その後に箱を一新した製品版がフジヤエービックを通じて秋ごろに発売するとの事。
先行発売品について一定数の予約があれば、筐体カラーがシャンパンゴールドになるかも知れないとの事でした。
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by katukiemusubu | 2012-05-13 02:32 | Ecouteur(ヘッドホン) | Comments(0)
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