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ジャパニーズ・ウイスキーの終売・代替情報(H27秋の国内ウイスキー情勢/サントリー・ニッカ・マルスなど)

※H30.2.22追記:本記事は旧版です。
「響17年」の休売や「白州12年」の休売情報は2018年春版(最新版)をご覧ください。

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「マッサン」の効果は絶大。
にわかにウイスキー(特にジャパニーズウイスキー)ブームが起こっております。
問題は、ウイスキーは容易には量産できないということ。

ビールなどの醸造酒の様に、つくれば即出荷という訳ではないのです。
性質上、つくった原酒を何年か寝かせなければお酒が落ち着かず、出荷できないのです。
そのため、現在出荷中のウイスキーは、ブームより何年も前に仕込まれた原酒を消費しながら生産されています。
要は貯金の切り崩し。

どのウイスキーメーカーも貯金=熟成原酒の在庫は有限ですから、ブームに従って使い込まれても、回復は簡単ではありません。
そのため、国内における深刻な原酒不足が発生しつつあります。
これに対応するためメーカー各社は、ラインナップの刷新に着手。
これまであった製品の一部を終売(生産終了)とし、あるいは代替をし、長期熟成原酒を保全しつつの販売にシフトしようとしております。
そんな、平成27年(2015年)初頭の国内ウイスキー情勢をまとめました。
※H27.5.29更新:夏に予定されているニッカの終売情報を追記しました。
※H27.6.13更新:「余市」「宮城峡」ブランド存続の報道を受け、一部表記を改めました。
※H27.11.30更新:「響」の終売情報を更新しました。
参考:ウイスキー入門!サントリー・ニッカ 現行ラインアップ一覧表(種類・価格別)



なお、以下の情報は非公式情報を多く含みます。
基本的に蒸留各社あるいは酒販店の方々から伺ったものですが、誤情報がある可能性も御座います。
それにご留意いただいた上で、御覧ください。

《サントリー》
「響12年」(ブレンデッドウイスキー) →酒販店によれば一時終売。値上げ後に再出荷予定。→2015年11月をもって完全終売(生産終了)。
「響 JAPANESE HARMONY」(〃)   →旧「響12年」価格帯の置き換え。「響ジャパニーズハーモニー」では熟成年数の表示がなくなり、ノンエイジ表記に。
「響17年」他「21年」「30年」(〃)  →ラインナップ継続。
「山崎10年」(シングルモルトウイスキー)→H26.3に終売。ノンエイジ「山崎」に代替。
「山崎12年」他「18年」「25年」(〃)  →ラインナップ継続。但しマッサン効果で入手困難。
「白州10年」(〃)           →H26.3に終売。ノンエイジ「白州」(レビュー記事リンク)に代替。
「白州12年」他「18年」「25年」(〃)  →ラインナップ継続。「山崎12年」程ではないが入手困難。
H27.7.16追記シングルグレーンウイスキー「知多」が9月1日に発売予定。11年ぶりの新ブランドとなる。700ml、43度、3,800円。

《ニッカ》
H27.5.29更新:ニッカウイスキー H27夏の終売・継続 一覧表(まとめ)
「余市」(シングルモルトウイスキー)      →全ラインナップ終売。9月1日にNAリニューアル版を発売。
「宮城峡」(シングルモルトウイスキー)     →全ラインナップ終売。9月1日にNAリニューアル版を発売。
「ピュアモルト」(ヴァッテッドモルトウイスキー)→ホワイトは終売。ブラック、レッドは継続。
「竹鶴」(ヴァッテッドモルトウイスキー)    →竹鶴12年は既に終売。竹鶴NA、竹鶴17年、竹鶴21年、竹鶴25年は継続。但し年数表記物の180ml小瓶は終売。
「博多」(ヴァッテッドモルトウイスキー)    →地域限定品。終売。
「ハイニッカ」(ブレンデッドウイスキー)    →継続。但し大瓶が終売。
「ブラックニッカ」(ブレンデッドウイスキー)  →「ブラックニッカ8年」は終売。他のラインナップは継続。但しスペシャルの1920ml大瓶は終売。
「G&G 白びん」(ブレンデッドウイスキー)   →終売。
「スーパーニッカ」(ブレンデッドウイスキー)  →継続。
「フロム・ザ・バレル」(ブレンデッドウイスキー)→継続。
「ザ・ブレンド」(ブレンデッドウイスキー)   →ザ・ブレンド・オブ・ニッカ、終売。
「ザ・ニッカ」(ブレンデッドウイスキー)    →ザ・ニッカ12年が継続。
「鶴」(ブレンデッドウイスキー)        →鶴17年、終売。
「竹鶴35年」(ブレンデッドウイスキー)     →H23年をもって生産停止。
「オールモルト」(オールモルトウイスキー)   →継続。但し大瓶は終売。
「モルトクラブ」(オールモルトウイスキー)   →終売。
「カフェモルト」(カフェモルトウイスキー)   →継続。
「カフェグレーン」(カフェグレーンウイスキー) →継続。
「伊達」(カフェブレンデッドウイスキー)    →地域限定品。継続。
他に「ブラックニッカ ディープブレンド(レビュー記事リンク)」(ブレンデッドウイスキー、45度)が6月2日に発売。

H27年夏(8.31出荷)以降、ニッカに残るのは、
「余市」「宮城峡」(シングルモルトウイスキー)、
「ピュアモルト」「竹鶴」(ヴァッテッドモルトウイスキー)、
「ハイニッカ」「ブラックニッカ」「スーパーニッカ」「フロム・ザ・バレル」「ザ・ニッカ」(ブレンデッドウイスキー)、
「オールモルト」「カフェモルト」「カフェグレーン」「伊達」(カフェ式ウイスキー)、
の13銘柄21品目となります。
かつての18銘柄34品目(ラインナップ概観記事)と比べると、実に40%に迫る減少率です。

特に「現行シングルモルトウイスキーの完全終売」「年数表記品(エイジド品)の大幅減少」は衝撃的なニュースです。
「竹鶴」や「ピュアモルト」といったヴァッテッドモルトウイスキー(ブレンデッドモルトウイスキー)は、
その定義上、輸入モルト(輸入ウイスキー)の使用が可能であり、
国産のシングルモルトウイスキーと異なり、厳格な意味でのジャパニーズウイスキー(純国産ウイスキー)には当りません。
そのためニッカは、カフェ系を除き、純国産ウイスキーの定番品を持たない会社となってしまう懸念があります。

→H27.6.13更新
北海道新聞などの報道により「余市」「宮城峡」のブランド継続が明らかになりました。
ニッカは9月1日をもって、「シングルモルト余市」、「シングルモルト宮城峡」の二つを定番商品として投入する予定です。
いずれもNA(ノンエイジ)品で、年数表記(エイジド)品ではありませんが、ともあれ純国産ウイスキーの存続は喜ばしいニュースです。
価格はリニューアル前(500ml、43度、1,600円)に比べて大きく高騰し、ほぼ倍額(500ml、45度、3,080円)を予定。
フルボトル(700ml、4,200円)の他、ミニボトルもラインナップされるということでした。
また3,000本限定で「シングルモルト余市 ヘビリーピーテッド」「シングルモルト宮城峡 シェリーカスク」(レビュー記事リンク)を同日に発売予定。
こちらは700mlフルボトルのみの発売で、アルコール度数48%、価格12,000円とのことでした。

ブームによる売上増は想定以上のもので、普及品で通常の倍、高級品で通常の三倍ほども売れたとか。
これにより、多くの長期熟成原酒が激減し、シングルモルトウイスキーのラインナップを定番商品として維持することが難しい状況となったのです。
今後は「数量限定品や蒸溜所限定品としてシングルモルトウイスキーを世に出しつつ、ノンエイジものの拡充を図っていく」とのこと。
ノンエイジとはいっても、当面はヴァッテッドモルト・ブレンデッド中心となるのではないか、ということでした。
ニッカは2015年9月1日をもって最大で40%近い値上げを行う旨を発表しており、上記の終売情報を含め、今後の動向に注意が必要そうです。

《キリン》
平成23年のメルシャン軽井沢蒸留所の閉鎖以降は特に変化なし。
富士御殿場蒸留所の「富士山麓 樽熟50°(ブレンデッド)」と「シングルモルト18年」が継続。
H27.5.30更新。富士山麓シングルモルト18年は5月をもって終売。後継シングルモルトの発売は現状のところ、未定。
→H28.3.31更新。3月下旬をもって「富士山麓 樽熟50°」が終売し、新「富士山麓 樽熟原酒50°」が発売。ノンチルフィルタードとなり、より濃密な味になった。
→H28.4.16更新。飲食店向け専売商品「富士山麓ブレンデッド 18年 2016」が3,000本限定で4月26日(火)に発売。キリンらしくグレーンをキー(主要原酒)に据えたブレンデッド。予想価格は20,000円くらい。


《宝酒造》
「キングウイスキー凛」(ブレンデッドウイスキー)が継続。

《オエノン・合同酒精》
「香薫」(ブレンデッドウイスキー)→H25.10発売。輸入原酒のブレンド品。スピリッツが混ぜられており、二級・三級ウイスキーの味を今に伝える(レビュー記事リンク)

《本坊酒造・マルスウイスキー》
「モルテージ駒ヶ岳10年」(ヴァッテッドモルト・ウイスキー)→H26終売。ニューポットが限定発売。
「マルスエクストラ」(ブレンデッドウイスキー)   →ラインナップ継続。鹿児島工場にて生産。
「マルス3&7」(〃)                →ラインナップ継続。信州マルス蒸留所にて生産。
「マルスアンバー」(〃)              →H26終売。全国発売版「ツインアルプス」に代替。
信州限定版「ツインアルプス」(〃)         →H26終売。全国発売版とは別物。新たな長野限定ウイスキー「信州」に代替。
H27.6.7更新:「マルス モルテージ越百(こすも、cosmo) モルトセレクション」43度、700mlが7月1日に発売予定。ヴァッテッドモルト・ウイスキー。予価4,200円(税抜)。名称は中央アルプス(木曽山脈)の越百山(標高2613m)から。

《笹の川酒造》
「チェリーウイスキーXXV」(ヴァッテッドモルト・ウイスキー)→H26ころ終売。H27春に再ボトリングの噂あり。
→H27.5.19追記:再ボトリングは取りやめとの事。新製品投入の噂があります。
→H27.6.5追記:新製品「ブレンデッド・ウイスキー 山桜 黒ラベル(レビュー記事リンク)」が発売。アルコール度数40%で700ml、税抜き2,100円。
→H27.9.1追記:「ブレンデッド・ウイスキー 山桜 黒ラベルプレミアム」が西武そごう系で限定発売。通常の黒ラベルと異なり、15年以上の熟成原酒を多く使用しており、重厚。税抜き2,500円。
「チェリーウイスキーEX」(ブレンデッドウイスキー)  →ラインナップ継続。
※限定商品:「山桜15年」(ヴァッテッドモルト・ウイスキー)→H27春に約2,400本限定で発売、税込4,320円、完売。
     :「山桜15年シェリーウッドフィニッシュ カスクストレングス ノンチルフィルタード ナチュラルカラー」(ヴァッテッドモルト・ウイスキー)→H27年6月うすい百貨店(郡山市)にて20本限定発売、税込32,400円、完売。

その他・備考
今回のリストは定番商品(普及品)がメイン。
数量限定品については記載しておりませんが、H27春の話題としては、笹の川酒造から「山桜15年(レビュー記事リンク)」(ピュアモルトウイスキー・2,400本)、信濃屋から「和馨」(ブレンデッドウイスキー・539本)が発売され、早々に完売しました。
特に「和馨(わきょう)」はブレンデッド、加水品、エイジ表記無し、それでいて4万円と不利な条件が揃っていましたが、即日完売。
ミズナラ樽を訴求した珍しいプライベートボトリングだったとは言え、昨今の原酒不足とウイスキーブームが反映された面白い事象となりました。
→但し事象には参加しませんでした。
 2.24のツイート「信濃屋新宿店を訪れる。サントリー・プライベートボトリング「和馨」の店頭予約が始まっていた。秩父ウイスキー祭で公開された商品。限定539本で税込39,852円。山崎1984ミズナラ樽原酒がキーモルトと聞く。しかし試飲もせず、年数表示のないお酒に四万円を出す趣味はない。よって見送り」


イチローズモルトなど、地ウイスキーメーカーについては限定品が多いため難しいものです。
興味深いところだと若鶴酒造の「SUN SHINE20年」が個性豊か。
本坊酒造については立地の特性を活かし、信州駒ヶ根で蒸留したニューポットを同社の屋久島伝承蔵や鹿児島本社へ移送した上、熟成を開始しているとのこと。

原酒不足に陥る業界。
しかし、新世代の仕込みも始まっています。
保全された長期熟成原酒と新たに仕込まれつつ有る新原酒。
これらが掛けあわせれた時、どのようなウイスキーが誕生するのか。
今回のバブルがはじけた後、東京オリンピックの頃には良き頃合いとなりましょう。
数年後が楽しみな情勢でもあります。

参考:ウイスキー入門!サントリー・ニッカ 現行ラインアップ一覧表(種類・価格別)

旧更新置き場
竹鶴12年」(ピュアモルトウイスキー)      →H26.4終売。「竹鶴17年」「竹鶴21年」「竹鶴25年」は継続。
「竹鶴ピュアモルト」(〃)             →「竹鶴12年」の置き換え。ノンエイジ表記に。
「余市」(シングルモルトウイスキー)        →ノンエイジは5月29日をもって休売。出荷再開は未定。エイジ表記付は180ml瓶を除いて継続。
                          →H27夏をもって余市NA、余市10年、余市12年、余市15年、余市20年 全ラインナップが終売予定。
「宮城峡」(〃)                  →ノンエイジ(レビュー記事リンク)は5月29日をもって休売。再開時期は未定。エイジ表記付は180ml瓶を除いて継続。
                          →H27夏をもって宮城峡NA、宮城峡10年、宮城峡12年、宮城峡15年 全ラインナップが終売予定。
「ピュアモルト」(ブレンデッドモルトウイスキー) →一時終売の噂が流れたもののラインナップ継続。「ホワイト」「レッド」「ブラック」の三種。
                         →H27夏をもってピュアモルトホワイトは終売。ブラック、レッドは継続。
「フロム・ザ・バレル」(ブレンデッドウイスキー) →一時終売の噂が流れたもののラインナップ継続(H27夏以降も継続)

by katukiemusubu | 2015-03-04 19:43 | 生活一般・酒類・ウイスキー
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