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【レビュー】KAVALAN(カバラン)ソリスト ビーニョ・バリック シングルカスクストレングス

感想と評価。

WWA2015(ワールドウイスキーアワード2015)、ブレンデッドモルト・ウイスキー部門では「竹鶴17年」が世界最高賞防衛を果たしましたが、シングルモルト・ウイスキー部門でも、またアジア勢の健闘が見られました。

世界一に輝いたのは台湾カバラン蒸留所(宜蘭)のシングルモルト・ウイスキー。
「ソリスト ビーニョワイン樽 シングルカスクストレングス」です。
販売店やメディアによって「ヴィーニョワイン樽」ですとか「ヴィーニョバリック」ですとか表記が異なりますが、いずれも同じもの。
カバランの青いやつ、と思っていただければ間違いないでしょう。
シングルカスク(単一樽から出荷)、しかもカスクストレングス(樽出し無加水)ですので、樽によりアルコール度数は異なり55~60%とのこと。
今回いただいたものは57%です。

Kavalan蒸溜所は平成20年(2008年)稼働開始。
非常に若い蒸留所ですが、亜熱帯の気候を活かした短期熟成技術でもって長期熟成酒に勝るとも劣らない評価を獲得しています。
そして今回の世界最高賞。

これは飲んでみるに如くは無し。
ということで、開栓することにしました。



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パッケージ。
48mlのミニチュアボトルですが、丈夫な紙管に収められ、安定感があります。

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ボトル。
水色は、晩秋の茜空を思わせる琥珀色。
この商品はノンチルフィルタード、無着色をうたっていますから、これが地の色なのでしょう。
短期熟成でこの色合い。よほどワイン樽の色味が強いのでしょうか。

では、いただいてみましょう。

まずは上立ち香。メロンを思わせる果実香。その後に強烈な酒精の香り。
やはり若い。しかし、驚くほどの果実感です。

味わいは如何でしょう。
口に含むと、したたかに舌を刺激する辛口のあと、ほがらかに広がるバニラの甘み。
舌で転がしてみると、ワイン樽由来のものか、徐々にタンニンの味わいが染み出してきて、バニラはキャラメルに転じます。
基調香は生蜂蜜(非加熱のハチミツ)のよう。非常に濃厚で、複雑に味わいが積層しています。
高い度数も相まってか、トロリとした質感。

含み香はパッションフルーツ、しかるのちにマンゴー。
余韻が非常に長いのが特徴的です。
はじめ酸味を感じますが、後に濃い甘味が優勢となり、これが独特のコクをもって長く続く。
多様なトロピカルフルーツの香りが鼻を抜けていきます。
パパイヤの様な、それでいてライチの様な、またパイナップルの様な。

水を加えると、酒精由来の塩味が一瞬舌を刺しますが、あとはひたすらに甘い。
バナナの様な甘味に、アボカドを思わせるこってりとした舌触り。

なるほど、英国ウイスキーマガジンが「多様なる果実味の饗宴」(意訳。原文は「Lots of stewed fruits」)なんて評するわけです。
洗練された味というよりは、野性味ある味わい。
しかし、一度飲むと忘れられない印象を残します。

たしか3年前後の短期熟成酒のはずですが、その若さもところどころに見え隠れします。
若干、アルコール分が強すぎる嫌いあり。
とはいえ、商品としての資質は十分。

スコッチ・ウイスキーに比べて高価なジャパニーズ・ウイスキー、そのジャパニーズに比べて更に高価なタイワニーズ・ウイスキー。
扱っているお店もまだまだ少ないですが、一飲の価値が御座いましょう。
by katukiemusubu | 2015-03-23 23:57 | 生活一般・酒類・ウイスキー
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