007 スペクター ネタバレ感想・あらすじ

2015年11月27日、映画007シリーズの最新作、スペクター(Spectre)の先行上映を観てきました。
前作スカイフォールに続くサム・メンデス監督作品。
全編のあらすじを含め、ネタバレ全開で感想レビューいたします。



<あらすじ>
オープニングシーケンス
メキシコ合衆国の首都、メキシコシティ。
死者の日(日本で言うお盆)の祭りが行われている中、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は一人の男を狙う。
男の名はマルコ・スキアラ(演じる俳優はアレサンドロ・クレモナ)。
スキアラは死者の日の混雑に乗じて、スタジアム爆破の大規模テロを企画していたのだ。
大乱闘の末、スキアラを倒したボンド。本国へと帰還する。
スキアラの指輪には、蛸を模した刻印が施されていた。

オープニングムービー
圧巻の触手プレイ。浮世絵ちっく。見れば分かる。

シーケンス1
大英帝国の首都、ロンドン。
前作スカイフォールで破壊されたMI6ビルは爆破解体が決まり、MI6は近隣建物へと引っ越している。

MI6はMI5との合併を余儀なくされ、また国家安全保障局のマックス・デンビ局長(アンドリュー・スコット、作中ではCと呼ばれる)には「00(ダブルオー)部門」の閉鎖を迫られる。

そんな中でのメキシコでのボンドの活動。
ボンドのスキアラ殺害は、007としての任務ではなく単独での活動だったのだ。
ボンドはMI6の長官・M(レイフ・ファインズ)に独断行動を非難され、無期限の停職を申渡される。
科白「(00部門の)殺しのライセンスは、殺さない(ことを選ぶ)ライセンスでもあるはずだ」

夜。Mの秘書ミス・マネーペニー(ナオミ・ハリス)がボンド宛の資料を持ってアパートにやってくる。
ボンドの独断専行を不思議に思うマネーペニー。
ボンドは彼女に先代M(ジュディ・デンチ)からのビデオメッセージを見せ、スキアラ殺しも彼女からの指示によるものだと明かす。
疑問が氷解したマネーペニーはボンドへの協力を約束する。

次の日。MI6の研究開発部門Q課を訪れたボンドは課長のQ(ベン・ウィショー)に追跡用ナノマシンを注入される。
独断専行を見咎めた、Mの指示によるものだった。
しかしボンドは自らの目的(先代Mの指示)を叶えるためQに協力を要請し、了承を得る。
Qによれば追跡用チップも注入48時間以内であれば不完全な機能になるとのこと。
早速ボンドは行動を開始する。

シーケンス2
イタリア共和国の首都、ローマ。
スキアラの葬儀が行われている。これに何食わぬ顔で潜入するボンド。
喪主のスキアラ夫人、ルチア・スキアラ(モニカ・ベルッチ)が情報を握っていると当たりをつけ、彼女に接近するボンド。
スキアラ夫人の暗殺を阻止したことで彼女の信頼を勝ち得たボンドは、夫人からスキアラが所属していた組織について知らされる。
彼らはスキアラの後継者を定めるために、いまローマに集結しているのだ。

集結会場に潜入するボンド。
そこでは世界中の悪事が討議され、その実現に向けての意見が交わされていた。
スキアラの後継者問題についても一悶着あったが、ヒンクス(デビッド・バウティスタ)が後継者に決まる。
会議の途上、組織の主宰者(クリストフ・ヴァルツ)が部下を従えて入場してくる。
世界中の悪人たちが居住まいを正し、起立してまで迎える相手。
その彼はボンドを見つけると「久しぶりだな、ジェームズ」と声をかける。
主宰者は少年期に死んだはずのボンドの義兄フランツ・オーベルハウザー(ボンドの養親の実子)だったのだ。

一転、守勢に立たされるボンド。
ローマ市内で激しいカーチェイスを繰り返し、ヒンクスの追跡を躱すことに成功した。
アストンマーチンDB10とジャガーC-X75の激しい鍔迫り合いは見応え十分。

シーケンス3
日本国の首都、東京。
公安調査庁にて、九カ国の情報機関のトップが会する国際会議が開催される。
席上、Cはグローバル化する脅威に対抗するため九カ国のデータベースを統合した「ナイン・アイズ」構想を披露する。
提案は南アフリカの反対により否決されたが、Cはナインアイズ(nine eyes)の運用はほど近いと考えて動き出す。

シーケンス4
オーストリア連邦共和国、とある湖畔。
「007 カジノ・ロワイヤル」の黒幕、「007 慰めの報酬」におけるキーマンであった国際犯罪組織クオンタム幹部・Mr.ホワイト(イェスター・クリステンセン)。
マネーペニーの調査によりMr.ホワイトと謎の国際犯罪組織との関わりを知ったボンドは、彼の隠棲先を訪ねる。
彼によればクオンタムの活動自体も謎の国際犯罪組織の主宰者により引き起こされたものであった。
Mr.ホワイトは主宰者と路線対立を演じた結果、タリウム(毒物)を盛られて衰弱している。
諜報機関同士の闘いならば兎も角、女子供にまで危害を及ぼす無差別テロを行うようになった主宰者に反旗を翻したのだ。
ミスターホワイトはボンドに後事を託し、拳銃自殺する。

シーケンス5
スイス連邦、山上の病院。
ボンドは診療客を装って、マドレーヌ・スワン博士(レア・セドゥ)の部屋を訪れる。
実はスワン博士こそがMr.ホワイトの娘であり、謎の国際犯罪組織の正体を知るキーマンだったのだ。
ボンドはスワン博士に協力を要請するが、拒絶される。
一旦引き下がるボンド。

そこにQが現れ、ボンドにロンドンへ戻る様に懇請する。
しかしQとボンドの会話の最中、スワン博士はヒンクスに誘拐されてしまう。
雪上のチェイスの結果、スワン博士を取り戻したボンド。
ミスターホワイトの遺言も奏効し、スワン博士はボンドに協力することになる。
謎の国際犯罪組織の名は「スペクター」と判明した。

シーケンス6
ロンドン。
南アフリカでのテロを受けた九カ国会議の議決により、ナインアイズ計画がついに承認される。
国家安全保障局によるMI6吸収合併が決まり、Mは追放される。
一方、マネーペニーはオーベルハウザー生存の証拠をつかみ、スキアラの指輪を調査したQもスペクターの存在を確信する。
Qとマネーペニー、スワン博士の協力を得たボンドはスペクターを倒すべく行動を開始する。

シーケンス7
モロッコ王国、海峡都市タンジール。
Mr.ホワイトの遺言に従い「アメリカン」を捜索に来たボンドとスワン博士。
「アメリカン」とはMr.ホワイト夫妻がハネムーンに訪れ、その後も毎年利用していたホテルであった。
その常宿の部屋を探し回る二人。捜索の結果、スペクターの拠点を記した地図を発見する。
スペクターの本拠地はモロッコの砂漠地帯にあったのだ。

シーケンス8
モロッコ王国、砂漠へ向かう寝台特急の中。
プルマン式の古風な車両のコンパートメントで徐々に親密さを増すボンドとスワン博士。
しかしヒンクスが襲撃をしかけてくる。辛くも撃退に成功する二人。
危機を介した吊り橋効果もあって、二人は結ばれたのであった。

シーケンス9
モロッコ王国、砂漠地帯。
クレーターの中に設けられたスペクター本部へ案内される二人。
オーベルハウザーは逃げも隠れもせず、堂々と二人を迎え入れる。
「何をしに来た」と問いかけるオーベルハウザーに、「お前を殺しに来た」と応えるボンド。
「てっきり死にに来たものかと思った」とおどけるオーベルハウザーとの遣り取りは、二人が兄弟であることを感じさせる。

スペクター首領エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドこと、オーベルハウザーと共に施設を巡る二人。
施設の中枢には情報センターがあり、世界各国の情報が集積され続けている。
実はCもまたスペクターの一員であることが明らかにされる。
Cは、スペクターが主導する無差別テロを利用して、ナイン・アイズ計画のニーズを作り出し、全世界の情報をスペクターが一元支配する構想を担っていたのだ。
世界中の機密情報がスペクターに握られるという重大な危機。
ボンドは抵抗するが、逆にオーベルハウザーに捕らえられ、拷問にかけられてしまう。

拷問の最中、ボンドに父親殺しを打ち明けるオーベルハウザー。
ボンド(養子)に実の父親を奪われることを恐れたオーベルハウザーは、登山中の事故と見せかけて父親を殺害し、自らの死も偽装したのだ。
そして母親の姓を名乗って闇の世界へ入り、ボンドの行く先々で彼を妨害していた。
ボンド最愛の女性ヴェスパーを殺害したのも、「007 スカイフォール」の黒幕シルヴァを操っていたのも、元をたどればオーベルハウザー(スペクター)に行き着くのであった。

反抗も虚しく、ロボトミー手術により廃人にされかけるボンド。
しかし、Qに託された秘密兵器とスワン博士の協力により、施設からの脱出に成功する。
行きかけの駄賃に、施設を爆破して去るボンド。
しかしオーベルハウザーは爆死を免れ、生きていた。

シーケンス10
ロンドン、最終決戦。
ナイン・アイズの稼働まで残り数時間。
不遇をかこっていたMと合流し、Cの本当の狙いを伝えたボンドは、MI6の仲間たちと共にナイン・アイズの阻止に向かう。

そこに現れるオーベルハウザー。
彼はボンド達と分かれたスワン博士を拉致し、旧MI6ビルに監禁していた。
ボンドもまた旧MI6ビルに連行され、オーベルハウザーと対面する。
オーベルハウザーはビルに爆薬を仕掛けた事を伝えた後、悠々とその場を立ち去る。
爆弾の炸裂まで残り3分。ボンドはスワン博士(マドレーヌ)を必死に探す。

一方、国家安全保障局に潜入したM、Q、マネーペニー、ビル・タナー(ロリー・キニア)はCの拘束に成功し、ナイン・アイズの稼働停止を試みる。
稼働まであと五分でQが稼働停止に成功する。
Cを逮捕し、連行しようとするM。
しかし抵抗するCと揉み合いになり、Cは国家安全保障局ビルのグランドフロアへ転落、死亡する。

一方、旧MI6ビル。
残り30秒というところでスワン博士を発見したボンドは、彼女の拘束を解き、旧MI6ビルのグランドフロアへ飛び降りる。
そして爆発。崩壊する旧MI6ビルを満足気に眺めたオーベルハウザーはヘリで飛び去ろうとする。
しかしボンド(とスワン博士)は生きていた。
解体工事用のネットをクッション代わりにし、落下の衝撃を相殺していたのだ。
旧MI6ビル地下の波止場から、高速艇でテムズ川に乗り出したボンドはオーベルハウザーのヘリを狙撃する。
何度かの銃撃を経て、オーベルハウザーのヘリコプターは燃え上がり、ウェストミンスター橋に墜落する。

炎上するヘリから脱出に成功したオーベルハウザー。
しかし、足を骨折しており、上手く動くことが出来ない。
そこにボンドが現れオーベルハウザーに銃をつきつける。
「終りにしよう(殺せ)」とボンドに微笑みかけるオーベルハウザー。
しかしボンドは銃を放り投げ、スワン博士と共に歩み去る。
殺しのライセンスは殺さないライセンスでもある。ボンドは殺さない事を選んだのだ。

オーベルハウザーはMらに逮捕された。

エンディングシーケンス
ボンドが去って数日。
Q課で仕事をしているQの元に、ふらりとボンドがやって来る。
「てっきり辞めたものかと」と驚くQに、「少し忘れ物があってね」と答えるボンド。
それを聞いたQはニヤリと笑い、ボンドにアストンマーチンDB5を引き渡した。
DB5で走り去るボンド。カーテンフォール。

エンドロール
エンドクレジット。James Bond will return.


<感想・評価>
スカイフォールの様な深みは無いものの、バリエーション豊かなアクションが楽しめる佳作。
ルチア・スキアラ(スキアラ夫人)を演じたモニカ・ベルッチは御年51歳の筈ですが、衰えを感じさせない美しいベッドシーンは一見の価値あり。
一方、ジェームズ・ボンド(007)役のダニエル・クレイグですが、少々お腹が出てしまっており、動きのキレが薄れつつ在るのは残念。
とはいえ落ち着きが出て来たと評することも可能で、人の動かし方がより巧みになってきています。
先代Mの死を受けて、彼がグループ一の賢者になったと言うべきか。

話の筋書きは非常にシンプルで、要は「世界を股にかけた兄弟喧嘩」。
オーベルハウザー(ボンドの義兄)がボンドにちょっかいを出し続け、ついには返り討ちという話なのですが、脚本が兄弟喧嘩に注力しすぎており、オーベルハウザーの動機も非常に内面的。
いまいち世界の命運がかかっている様な緊迫感に欠ける。

前作から監督以下、ほぼ全ての主要スタッフが続投しているが、撮影監督のみホイテ・ヴァン・ホイテマに変更。
同撮影監督の「裏切りのサーカス」を思わせる路地に語らせるカメラワークは健在で、街の描写は大変叙情的。
自然が多かったスカイフォールから、人工物の多いスペクターへ。変化に応じたスタッフ編成となっている。

契約としてはもう一本撮ることが可能なクレイグ・ボンドですが、
主演のダニエル・クレイグ自身がこれ以上の出演を拒絶している旨の報道がなされており、
クレイグ・ボンド最終作となる可能性も御座います。
それを知ってか知らずか、エンドロールの最後には「James Bond will return.」とクレジットされたのでした。


〈別記:多読性について〉
Skyfallにあった複雑性。
それは筋書きの多面性に裏打ちされていたように思います。
スカイフォールとは「ジェームズ・ボンドが007になる話(誕生秘話)」であり、
また「老いたる獅子の話(それはジュディ・デンチ演じるMの事であり、また大英帝国そのものの事でもある)」でもありました。
要は英国(イギリス)にしか作ることの出来ない映画だったのです。
この複雑性ゆえにスカイフォールは複数回の視聴に耐える作品足りえています。

今作・スペクターは「ジェームズ・ボンドが007を辞める話」であり、
また「兄弟の骨肉の争い」「高度情報化社会における情報収集の脅威」「グローバル化するテロリズム」を扱った意欲作でありました。
しかし扱った題材が多く、広すぎるためか散漫な印象となり、逆に多読性を損なっているように思われます。
ドラマからエンターテイメントへの回帰と言うべきか。
とはいえ、ハリウッド映画もびっくりの大胆華麗なアクションは健在。
スカイフォールと比較しても多くの見せ場があります。
劇場での視聴をおすすめしたい一作です。

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by katukiemusubu | 2015-11-28 01:19 | ブックレビュー・映画評 | Comments(0)
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