ヘリオス酒造「ピュアモルトウイスキー 暦」レビュー

ローソン限定発売のウイスキー「暦(れき)」を購入しました。
200本限定で発売された「暦15年」の普及版という位置づけの商品です。
感想、評価など。



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<商品情報>
2016年(平成28年)10月25日(火)発売。
9月6日に予約が開始され、即時完売となったシングルモルトウイスキー「暦 15年」の普及版といった位置づけです。

容量180ml。アルコール度数は40度、税抜き789円(税込み853円)。
通常量の700mlとして考えると税抜き3,072円であり、中価格帯の商品といえます。

200本限定の「暦15年」は500ml、アルコール度数は40度、税抜き8,850円でしたから、1mlあたりの価格で概ね4分の1くらいです。
(暦:1mlあたり4.3円に対し、暦15年:1mlあたり17.7円、いずれも税別価格で計算)
廉価版・低価格版とはいえ、ローソンの公式ラボによると、今回の180mlバージョンには「ピュアモルトウイスキー「暦」15年を約20%ブレンド」している旨、発表されています。
180mlの20%は36ml。さきほどのミリリットル単価で計算するとこれだけで637円となります。
残りの約144ml、152円分は、国産ウイスキーが高騰している現在、おそらく輸入モルトによるヴァッティングでしょうが、暦15年の価格を考えるとお得感のある価格設定といえます。

ヘリオス酒造は沖縄県名護市に所在する株式会社。
樫樽で熟成する泡盛古酒「くら」で有名な酒蔵です。
沖縄タイムスの報道によると、沖縄の本土復帰より以前からウイスキーを製造していたとのこと。
80年代の地ウイスキーブームに至るまで生産を続けておりましたが、ブームの沈静化に伴いウイスキー生産から撤退、商品製造も休止されました。
しかし、今回の15年熟成原酒の発見と発売に伴い、ウイスキー製造を再開する旨が告知されております。

ウイスキー製造当時の商品としては「神谷12年」(かみや12年、700ml、アルコール度数40度)などがありました。

今回発見された熟成原酒は9樽、約2,000リットル。
全て同じサイズの樽と考えると1樽あたり222㍑です。
台湾のkavalan(カバラン)など南国産のウイスキーは、その高温多湿な環境から揮発分(天使の分け前)が大きく、これを加味すると通常サイズのパンチョン樽でしょうか。
南国産としては、鹿児島の津貫蒸溜所(マルスウイスキー)が稼働を開始しましたのでこれも楽しみです。

初回配架はローソン1店舗あたり2本でしたから、ローソンの店舗数(約11,100店)を考えるとファーストロットの生産本数は2万2千2百本です。
使われた原酒は1本あたり約36mlでしたから、36ml×22,200本で799,200ml(799.2L)となります。
また暦15年分の生産分500ml×200本が、100,000ml(100L)。
初回生産時の使用原酒は合計約900Lと推定されます。

もちろん15年の長期熟成物ですからアルコール度数は40度を越えているはずで、度数を下げるため、ある程度の加水がなされているはずです。
これら諸要素を勘案すると、初回生産時の原酒の使用量は4樽・888Lではないかと思われます。

初回時点で概ね5樽・1000Lほどの残量があり、まだ他のブレンドなどにも利用できそうです。
ただし「暦」のヒットを受け、28年末から29年初にかけてセカンドロットの出荷(1店舗あたり2~3本配架)が行なわれました。
そのため、この記事を書いている2017年2月現在では、残存する貯蔵原酒は皆無、あるいは1樽程度のものと考えられます。

さて、前置きが長くなりました。
お味の方に、焦点を合わせましょう。

甘くバニラを思わせる上立ち香に、強烈な潮気。
潮気というとアイラモルト的に、からりと乾燥した芳香を連想しがちですが、そこは南国。
ねっとりと湿めっぽく、夏の熱帯夜のような濃密な潮気があります。
ヨード臭というより、波止場の様な。

口にふくむと焙煎した海藻を思わせる基調香が鮮烈です。
そして麦の旨味が口内を満たしてゆきます。
甘く、じっとりとしたコクがあり、マンゴーの様でもあり、香りと相まって煎り胡麻の様にも思えたり。

余韻はそれなりに長く、鮮烈な基調香がそのまま含み香となって、さざ波の様に消えてゆきます。
ミディアムボディでありながら円やかで、古酒(クース)製造で培った技術が生きたウイスキーと申せましょう。

オーク樽熟成、銅製の単式蒸留器を使用とのことですので、原料を除き、基本的には「くら」と同じ作り方なのかもしれません。

いわば米を用いず、麦でつくった泡盛古酒とでもいうべき味わい。
それでいてウイスキーらしい上立ち香や余韻を持ち、他にはない面白いお酒です。


<テイスティングノート>
水色は鮮やかな黄金色。亜熱帯の太陽を思わせる。
上立ち香は複雑で、バニラの様な甘い香りが立ったかと思えば、濃密な潮気も感じられる。ある種、ラム酒にも近しい。
口に含むと、鋭いアルコールの刺激の洗礼。しかし、これはすぐさま消えて、麦の素材本来の甘味やコクが際立つ。
鼻に抜ける基調香は、焙煎した海藻の香り。
香りとあいまって、味わいがトロピカルフルーツを連想させる酸味、甘味へと変化していく。
舌で転がせば、弾ける様な香味。焦げを思わせる苦味。炒り胡麻の様。濃厚で個性豊か。
飲み干したあとも、含み香はゆるやかに続く。
基調香と同じく、焙煎した海藻の香りだが、さざ波の様に、穏やかに往来し、かつ確かに持続する。
朝日の様な水色、真昼の如き大騒ぎの味わい、夜の静かな海岸の様な余韻。南国の一日。
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by katukiemusubu | 2017-02-10 13:27 | 生活一般・酒類・ウイスキー | Comments(0)
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