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長龍酒造「蒼穂 純米原酒 山乃かみ酵母仕込み」 レビュー

感想と評価。



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奈良県北葛城郡広陵町・長龍酒造株式会社の「長龍 蒼穂 純米原酒 山乃かみ酵母仕込み」を購入しました。
四合瓶で税込1,296円也。限定品です。

スペックは720mlで、アルコール度数13度以上14度未満。
精米歩合は65%、使用米は奈良の酒造好適米「露葉風(つゆばかぜ)」のうち山添村産のものを100%使用しております。
日本酒度は-7.0と甘口で、酸度は2.9です。

清酒の名称にも入っている酵母「山乃かみ酵母」とは、
その名の通り、山を御神体として祀る三輪山(大神神社)の御神域から分離された酵母で、ササユリの花から採種されました。
平成24年(2012年)に登場した新しい酵母で、奈良県独自の酵母です。

現在は「風の森」で知られる御所市の油長酒造など、県下13蔵で仕込みが行われています。
大神神社の主神は、酒造の神としても知られる大物主大神(大物主命、おおものぬしのみこと)であり、
まさに山の神(山乃かみ)という名称にピッタリな酵母と申せましょう。

各酵母の中でも、リンゴ酸を豊富に生成し、独特のフレッシュ感があります。

長龍は、生駒山地にほど近い田園地帯、広陵町に本拠をおく酒蔵で、熟成古酒への熱心な取り組みで知られています。
また吉野杉を用いた樽添え(樽熟成)や、地産米を用いた酒造り(稲の国の稲の酒)にも取り組んでおり、目を惹く地酒蔵といえます。

今回の「蒼穂」も露葉風に奈良特有の酵母をかけ合わせており、その系列に連なる商品と申せましょう。

生駒山系の水は、国内の水としては比較的ミネラルの多い性質を有しており、例えば広陵町の隣町・生駒市の水道水の硬度は47mg/L。
蒸発残留物は128mg/Lもあり、硬水ではなく軟水ではあるものの、ミネラルに富んだ水を産出します。

おそらく、長龍酒造の仕込み水も同一傾向のものであり、ミネラル感豊富なコク深い味わいが特徴的。
-7度という表記の通り、かなり甘口の仕上がりですが、ただ甘ったるいという訳ではなく、
酵母から発せられた青リンゴを思わせる軽快な酸味と、トロンとした甘味、水に由来すると思われる舌に残るコクとが一体となって、
あたかもプレーンヨーグルトの様な印象があります。

とはいえキレは良く、すっきりとした立ち上がりを持ち合わせており、
独特の乳製品的な甘さ、朗らかな香味、後の明快な辛さが、スムースにつながり、よく出来たお酒と言えます。

ただ、山乃かみ酵母特有の酸味は結構クセがあるため、酸味のあるお酒が苦手な方には不評となるかも知れません。

とは言えそこは露葉風、このお米特有の心白の大きさから、精米歩合65%ながら吟醸香を思わせる香りを持っており、
味わいの他、香りの面からも面白い日本酒(清酒)と思われました。

燗をつけるよりかは、冷酒がおすすめです。

by katukiemusubu | 2017-10-04 22:01 | 生活一般・酒類・ウイスキー
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