レビュー「妖刀事件」

ここ2、3日、南関東は秋晴れに恵まれ、すごしやすい日々が続いております。

本日ご紹介するものは、PCゲーム『妖刀事件』(liar soft 2006年)です。
現代の渋谷を舞台に、謎の刀と連続殺人事件の行方を追って行くAVGです。
(※18歳未満はプレー禁止となっておりますので、該当年齢の方の閲覧はご遠慮下さい。)




では以下、詳細に見ていきましょう。
なお、ネタバレは致しませんので、未プレイの方もご安心下さい。

《一次採点結果・・・各20点満点、総計60満点中37点》
シナリオ:9点
本作品はマルチビューノベルをうたって、登場人物の心象風景を多面的に描き出していくことを意図しています。
ですが、残念ながら、この意図は失敗に終わったと評せざるを得ません。
確かに一部人物の心理が見られるようにはなっていますが、話の深みを出しているというより、単なる残虐な行為描写の繰り返しに堕してしまっています。
行為に至る心象形成の過程を丹念にみせてくれるのかと期待していたのですが、そういうものはありませんでした。
また、奈須きのこを意識したような、感嘆詞「ああーー」が多用されていますが、これが奈須文体のような切れの良さを生まずに、一方的な感情描写に終わっているのは残念です。
さらに、渋谷に生きる現代の若者の人物造形があまりに稚拙に過ぎます。
なんでも、強姦しておけばいいってものじゃない。
ということで、シナリオ評価は低めです。

CG:16点
なかなかに良いです。
男女の書き分けもしっかりなされていて、感情の表現も上手い。
特筆すべきは、塗りのよさでしょうか。
水彩画調というわけでは無いのですが、少しやわらかめな色彩に落ち着かされます。
それぞれの登場人物は髪の色は、標準的な茶か黒なのですが、うまくキャラクターの個性に合わせて濃淡をつけています。
また、格好・髪型に違和感がないのもグッドです。

音楽:12点
主題歌・エンディングテーマはそれぞれ良く出来ています。
特にエンディングは、物語をしめやかに締めくくっていて好印象です。
一般シーンにおけるBGMは、すこし扁平な感じがあります。
街場での会話なら明るめの曲想、戦闘の場面なら激しい曲想、とツボは押さえているのですが、一面的で転調が少ないように思えます。
そのため、単独で聞いて楽しめるクオリティーには至っていないかと。
あと、音源の問題なのか、電子音の音質が良くないようです。


《二次採点(演出・システムなど)・・40点満点中17点》
演出については、特に言うべきことはありません。
ただ、シナリオが変化を見せるシーンにおいて、文字を画面中央に持ってくる演出が多用されすぎて、途中から食傷気味になりました。
システムは、練られているとは言い難いです。
たて読みの文章配置そのものは問題ありませんが、新たな文章が出てくるごとに、いちいち文章が右スクロールするのは読みづらくて仕方ありません。
また、スキップ機能が大きな区切りごとについているらしく、既読の文章を一文ずつ飛ばすことが出来ません。そのため、既読部分も再び読まざるを得ないという状況になり、少々ストレスがかかります。
加点事由は、特になし。
パッケージは通常の18禁ゲームより一回り小さい150mm×215mmサイズ。
紙質は上質で、表紙絵もいい塩梅です。


《総評・・・100点満点中54点》
8800円の通常価格のゲームだったため少々厳しく採点しました。
廉価版の価格だったら、もう少し上の、だいたい70点くらいのゲームかと思います。
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by katukiemusubu | 2008-10-18 19:23 | PCゲーム | Comments(0)
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