多摩川沿いをサイクリングして来ました。
今日は、趣を変えてエッセイ風に書いてみようかと思います。 週末の日課、サイクリングをすること。 金曜の夕方、いつものように図書館を出た私は、駐輪場から自転車を引っ張りだして多摩川に向かった。 勉強疲れの頭に冬の風が心地よい。 法律書と向き合う生活はそれなりにやりがいがあるが、なにしろ頭を使う。 吐く息は白く染まり、もう年の瀬であることを思い知らされる。 少し前まで紅葉に染まっていた多摩丘陵も、いまではもう色彩を失いつつある。 立川の立日橋まで出て、サイクリングロードに乗る。 多摩川サイクリングロード。全長55km、首都東京を東西に走り抜けるサイクリストのメッカだ。 とはいえ、金曜の夜、それも冬となると人影はまばらだ。 立日橋から、少しの間川縁の道を走り、再び車道に戻る。 このあたりは、多摩川の支流が交錯しているため、自転車道が途絶えるのだ。 1km弱ほど道なりに行き、中央道の下に出る。 ここからは世田谷の二子玉川まで20kmばかり、川縁の道が続く事になる。 自動車やオートバイの侵入は禁止された、サイクリストと歩行者のためだけの道。 こここそが、多摩川サイクリングロードの核心部だ。 ![]() 往復10km。時速15kmのナイトクルーズの始まりだ。 南西の方角をみると、夕闇に富士山が浮かんでいた。 使用する自転車は、YAMAHAの自転車PAS City-X。 20インチのミニベロで、電気アシストがついている。 日常的に、多摩丘陵地帯の坂を行き来する私にとってなくてはならない愛機だ。 登坂性能を高めるため、ハンドルをMTB用の幅広のグリップに、サドルをセライタリアのAir Activeに交換している。 サドルの高さ、ブレーキの効きを確認。 ギアをロウにいれて走り出した。 けっこう川風が強い。 風速15mもあろうかという風が私の体、そして自転車を左右に揺さぶる。 しかしながら、軽めに入れたギアが作用して、自転車は加速をはじめ、安定を取り戻してゆく。 私は、身体の重心をへそあたりに置いて、徐々にペダルを踏むスピードをあげていく。 電動自転車は、概して重い。 モーターやバッテリーに加え、その機能を組み込むためにフレームの強度を上げるため、必然として高重量になるのだ。 City-Xも例外ではない。総重量20kg。 20インチのミニベロとしては、破格の重量だ。 ロードバイクなどと比べれば、3倍近い格差がある。 そのため、そこまで速度は出せない。 踏み込みがある段階を越えると、車輪のトルク特性と遠心力が作用して、ある程度で加速が緩やかになる。 ちょうど放物線が頂点に近づいてゆくようなものだ。 限りなくyに近似になってゆく。 電動アシスト無しでは、それがだいたい時速20kmくらいだ。 周りの景色の動きをみて、だいたいの速度を探る。 時速15km。頃合いだろう。 体力を維持するため、その速度で巡航することにする。 冬の夜は、このくらいの速度でも寒さが堪える。 思わず着ていたピーコートの襟を立てた。 ただ、寒い事は空気がきれいである事とほぼ同義だ。 遠くまで見通しがきき、夏には気づかなかったものに出会える。 その代表が富士山だ。 冬ならば、東京からだって見る事ができる。 彼女は視界右側に寄り添い、その端正な横顔を見せてくれる。 夕焼けの朱が黒々とした山塊に映え、美しい。 いくつかの橋の下をくぐり抜ける。 橋の下には人がいる事が多い。橋は絶好の風よけであり、練習所だ。 多摩川沿いには学校が多く、彼らの部活動に出会える事があるのだ。 弁論部なのか演劇部なのか、発声練習をくり返す男女。 張り上げる「あ え い う え お あ お」が、耳に心地よくリズムを刻む。 河原にも、人はいる。 今度は大人たちだ。 犬の散歩をしたり、ただ河原で佇む人もいる。 サックスやギターなど楽器を奏でる人もいる。 古来から、川は文化の流れでもあった。 それを実感させる瞬間だ。 ![]() 聖蹟桜ヶ丘の西一キロにかかる白亜の吊り橋だ。 この橋を渡って、川の南岸に移る。桜ヶ丘の街が南岸にあるためだ。 橋桁を支える二つの塔と索線が見事なシンメトリーを描いている。 私が好む橋の一つだ。 南岸の道は暗い。 同じく自転車と歩行者のための道だが、近くに幹線道路が走らないため、街灯が少ないのだ。 歩行者にぶつからないように走る。 こういうときこそ、反射板の効用が発揮されるというものだ。 速度は少し穏やかに。道の先には、京王本線の鉄道橋。 川面に映る電車の影がなんだか郷愁を誘う。 思わず、携帯をカメラに見立てて構えた。 写真を撮るために自転車を草むらに止めると、乾燥した植物がシャキシャキと音を立てた。 ![]()
by katukiemusubu
| 2008-12-26 20:06
| 自転車(タルタルーガとCity-X)
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