てんや×ふじ好×神田天丼家 神保町天ぷら戦争

秋は何をするにも適した時期ですが、やはり千代田区界隈では読書の秋。
神保町にて神田古本まつりが11月3日まで開催中です。
神保さんといえば、大阪夏の陣でどこか奥州の騎馬鉄砲隊(味方)に鉄砲を撃ちかけられて、部隊が壊滅、
一度は大身旗本としての断絶を経験した富山の勢力ですが、この一族の末裔が幕臣として住んでいたことから「神保町」の名があります。
古本まつりは駿河台下の交差点から、専大前の交差点まで全長約400mにわたり本の市が立ちますが、いまの住所で言う神田神保町とほぼ重なっています。
その中でも専大前交差点は、専修大学にも程近いほか、集英社の本社があったりと、文教地区の香りある界隈です。

さて現在、そんな神保町・専大前交差点周辺は、比較的安価な天ぷら屋が軒を重ねて競いあう、天丼激戦区となっています。
交差点を中心とした150m圏内に、天ぷら屋が三件もある始末。コンビニよりも数多く何とも過密なものです。
今回は、その全ての定番天丼を大盛り・味噌汁付きで注文し、レビューしてみました。
需要があるかは分かりませんが、お昼の参考にでもなれば幸いです。



一店目:てんや
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言わずと知れた天丼チェーン店ですね。
店は20人収容くらいの広さで、神保町界隈としては平均的なサイズ。
カウンターの他、テーブル席も存在しました。
チェーン店らしく、綺麗に掃除がされており、入りやすい雰囲気ですね。
席について注文したのは、「天丼大盛り」(600円)です。
合わせ味噌の味噌汁が付いて来ます。
てんやの味噌汁は、良い感じに出汁が効いており、個人的にかなりの好みです。
味噌特有の甘味としょっぱからさが、出汁の旨みとあっており、単品でも美味しくいただけます。具はわかめと刻み葱です。
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天丼のネタは海老、いか、きす、いんげん、南瓜の5品。
これに関西風の出汁・みりんをきかせたタレがかかっており、飴色に染まった衣が食欲をそそります。
大盛の御飯の量は400gぐらいでしょうか。通常が300gを少し切るくらいですから100円プラスとしては適度な増量です。丼のサイズは平均的。
さて、いただくとしましょう。
大ぶりの海老がまず目につくので、これを一口。
チルド輸送でもされているのか、身のプリプリとした歯ごたえが健在で、
甘めのタレとの相性もよく、ご飯がすすみます。
南瓜のホクホクとした感じは、そこまで有りませんが、普通です。
いかの天ぷらは柔らかすぎず、硬すぎず、良い塩梅です。
インゲンの香味が、魚介系の味を上手く引き立ててくれます。
キスは小振りで、優しい味わい。タレの甘さで、きす特有の甘さを感じづらいですが、しかし及第点です。
てんやの天丼は総じて甘めの味わいで、これをしょっぱめに味付けされた味噌汁と共にいただくことで、バランスのとれた味となります。
計算されつくした商品設計はチェーン店ならではの強みでしょうか。
専大前店では、天丼のほかに他店では普通盛り550円の国産野菜天丼が500円で食べられますので、こちらも宜しいですね。
住所:東京都千代田区神田神保町3-2
営業時間:11時から22時(土休日は21時)



2店目:天ぷら革命 ふじ好
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「ふじ好」と書いて「ふじごのみ」と読みます。日本最高峰、富士山をもじった名前なのでしょうか。
このお店、もとは「天麩羅 いもや」だった処を居抜きで使っていまして、ところどころに昭和の香りが残ります。
打ちっぱなしのコンクリートの床、放置された食器、古い味わいを残す木のカウンター15席くらい。店内は相当昭和です。
これを打ち消すかのように、店外には赤と白を基調にした派手な看板と旗が立ち、立ち看板が目を引きます。
廉価店でもシックな外観をモットーとする神保町界隈には珍しい外観です。
さて、こちらでは「ふじ好天丼大盛」(600円)を注文。味噌汁は別料金(100円)のため、締めて700円です。
味噌汁の具は、麸と乾燥ネギ。インスタント風で取り立てて言うことは有りません。
こちらのお店では、タレ多め、天かす増量、マヨネーズかけが無料だそうで、前者二つをお願いしました。
黒色のタレが目を引きます。
天丼のタレについては、うどんつゆ等と同様、関東・関西の違いがありまして、
関西は出汁・みりんを中心とした甘口飴色のたれ、関東は醤油を中心とした辛口黒色のたれを用います。関西から来た人は、関東のたれの色と味わいに驚くこともあるそうです。
ふじ好の天丼は、見た目関東風の黒色たれなのですが、実際に味わってみて吃驚しました。
結構出汁の成分が強く、関西との折衷的な味なのです。言うなれば、関東の皮をかぶった関西風といった具合。
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天ぷらのネタは海老、豚、鳥、かぼちゃ、いもの5品。サラダ油を使用しているのか、衣は綺麗な白色です。
肉が入っている当たり、博多風の天ぷらの様にも思いました。
丼は平均的なサイズより小振りで、御飯の量は大盛りでも350gくらい。食いしん坊には少しもの足りないかも知れません。
その為か特盛(200円増し)も用意されています。でも、少し高いか。
天丼といえば、いかを探してしまいますが、ふじ好ではいかの天ぷらがない代わりに、いかの塩辛が食べ放題です。ゆずを効かせたあっさりとした味で、なかなか美味。
(※H25追記:いかの塩辛食べ放題は廃止されたそうです)
海老はてんやよりは小振りで、しっとりとした食感。冷凍ものなのか、プリプリ感はそこまで有りませんが、及第点的な美味しさです。
かぼちゃはパサパサしており微妙でしたが、いもの揚がり具合は良く、ほくほくとした感触と自然な甘みが楽しめます。
豚天、鳥天の二つですが、これは面白い。サクサクした衣をぬけると肉汁のじゅわりとした旨みが味蕾を刺激し、二種のあぶらのハーモニーが提供されます。
ただ、人によっては肉の脂、天ぷらの油の二重苦となり辛いかも知れませんね。
見た目で関東風を予想したら、関西風であったり、肉の天ぷらがあるなど、その店舗外観と同様にトリッキーな天丼でした。
三店のなかでも、一番変わりだねでは無いでしょうか。
なお、お茶や水はセルフサービスなのでご注意ください。
また定食メニューもあって、こちらもお手頃な価格帯でした。肉物は多い(豚の角煮天ぷらなんてものも有ります)のですが、魚介系のネタが少ないのが気にかかるところ。
住所:東京都千代田区神田神保町3-1-13
営業時間:11時から22時
(※H26追記:閉店しました)



3店目:神田天丼家
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もと明治大学裏にあった店が、10月中旬に移転してきたものです。
このお店、今は名前が違いますが、元をたどれば「天丼 いもや」に当たります。
旧いもやから引き継いだカウンターは風格を感じさせ、新店舗らしからぬ落ち着き払った様子。
格子木のあるシックな外見に、薄紫の看板が映えるその姿は、「お江戸の店」といった塩梅ですね。
神田天丼家は、靖国通りに面したふじ好の横にある路地を南に進むと有りまして、ふじ好とは隣り合った建物です。何の因果か、「いもや」の居抜き店と「いもや」の継承店が隣あうとは興味深いものですね。
店舗に近づくと、いい胡麻油の香りが漂い、食欲を誘います。
天ぷらの揚げ方にも、関の東西の差が有りまして、菜種油などを使うのが関西風、胡麻油を使うのが関東風です。
ふじ好は胡麻油を使っていないようで、その意味でも関西風でした。
ともあれ胡麻油の香りに誘われて、のれんをくぐります。白いのれんをくぐると見えるのは白木のカウンター。さっぱりとして、清潔感のある店内です。
全部で10人くらいの収容でしょうか。
職人さんがテンポよく注文をさばいているのが見受けられます。
ここでの注文は「天丼大盛」(650円のところ600円)。赤だしの味噌汁が付いて来ます。具はわかめと刻み葱。
赤だしは大豆や出汁の旨味が良く出ており、適度な甘みもあってよいお味。今回の三店の中で一番の好みでした。
600円の並盛に50円プラスで大盛または中盛に出来るのですが、どちらにしてもご飯一粒残さず食べることで、追加代金を免除してくれます。
実に学生街らしいサービスです。
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ネタは海老、きす、いか、かぼちゃ、海苔の5品。大盛りを頼むと丼のサイズも平均より大きくなり、かなりの量をよそってくれます。450gくらいでしょうか。
揚げ加減はかなり強く、サクサクというよりはザクザクといった具合。
塩辛さを感じるくらいの黒色のタレが香ばしい衣とよく絡み、衣だけでもご飯が美味しくいただけます。
関西風のたれに慣れている場合には違和感を感じるかも知れませんが、不思議なくらい胃にももたれず食べ進めることが出来ました。
海老の鮮度はかなり良く、プリプリとした食感。ザクッとした衣と弾力ある身の調和が口を楽しませてくれます。
海老の他にも、神田天丼家のネタの鮮度はかなり高いものと感じました。流石にこの価格帯で天然物とは思いませんが丁寧に下処理がなされているのでしょう。
きすについては取り立てて言うことはありませんが、いかの味わいは特筆すべきものです。
身を細長く梳いた12cmくらいの大ぶりの天ぷらですが、歯切れのよい柔らかさで、たれをよく吸っています。
辛口のタレといかの甘みの具合が実によく、これに七味唐辛子を気持ち振りかけて、共にかっ込むご飯はまさしく絶品です。
かぼちゃは他店に比べて少々薄めですが、その分食感が保たれ、ホクホク感が楽しめます。
海苔天は香り高く、他のメニューを食べながらの箸休めに最適です。。
しょっぱめのタレのかかった天丼と、旨味ある甘さがある味噌汁の組み合わせもバランスよく、引き継がれた伝統の味を感じさせてくれます。
諺に「名は体をなす」と言いますが、外見もまた内実を表すもので、神田天丼家の天丼は実にこざっぱりとして、江戸っ子らしい味わいでした。
お店の方々の対応もマニュアル化されない自然なもので、常連客とのつかず離れずの距離感、初見客へのそれとない配慮といい、店全体に目が行き届いた居心地のよい店です。
14時からは5食限定で野菜天丼(500円)もやっているとのことでした。
住所:東京都千代田区神田神保町3-1-14
営業時間:11時~16時(日祝休み)

関西風でブレのない味のてんや、折衷的でトリッキーなふじ好、関東風で江戸情緒ある神田天丼家。
神保町界隈に並び立つ、これら天丼屋三軒は、それぞれが全く別種の「天丼」を提供していました。
恐らく食べる人の出身地、食嗜好によって、大きく好みのランキングは変わってくることでしょう。
ただ何にせよ半径100m程度の内で、これだけの種類の天丼が食べられる地区も珍しいのではないかと思います。
古本まつりのついでになど、一度食べ歩かれてみてはどうでしょうか。
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by katukiemusubu | 2011-11-02 02:28 | B級グルメ | Comments(0)
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