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Bialbero ε試作機試聴(ポタ研に行って来ました)

フジヤエービック主催、ポータブルオーディオ研究会2012夏ことポタ研に行って参りました。
とはいえ、所用があったため、会場滞在時間は10分でした。
時間の都合上、訪問したブースはWAGNUS.のみです。



さてWAGNUS.ブースでは、ポータブルヘッドホンアンプBialberoの製品版試作機「Bialbero ε」(ビアルベロ イプシロン)を試聴させてもらいました。
Wagnus・Toneflake共同開発のBialberoアンプは平成24年5月に試作版Proto1が20台限定で発売され、即日完売。秋〜冬に製品版の発売が予定されています。
今回のε試作機はその製品版の試作第一弾ということです。

Bialbero PROTO1の鋭角的なボディに対し、丸みを帯びた曲線的なボディが魅力的です。
青色にアルマイト加工されたボリウムつまみが銀色のボディに映えています。
Bialberoは伊・アバルト社の車種名が名前の由来だそうですが、今回のε(epsilon=イプシロン・5番目のギリシャ文字)で思い出すのは伊・ランチア社のランチアイプシロンです。
ただ、この場合のイプシロンはΥ(ypsilon=20番目のギリシャ文字)ですので違う名前の由来かも知れません。

出音はというと、まろやかで音の纏まりが良い印象。
耳を中心として半球状のサウンドスケープが広がる感覚です。
音場は直挿し時に比べて変化なく、プレーヤーの音の出に応える様に思われました。
解像感はそれなり。Bialbero Proto1は先日のレビューにも書きました通り、高度に昇圧された電源系統による解像感豊かな音が魅力的でしたが、Bialbero ε試作機はPROTO1ほど高解像という訳では有りません。
どちらかと言うと、微細な音の一つ一つを捉えるというより、全体としての調和的な音の鳴りに重きをおいたモデルと言うべきでしょうか。

解像感豊かな音はピアノで言えば、その打鍵感、弦の振れ、響板での増幅、楽器筐体に残る残響まで余すところ無く捉えて、音楽に聞き入る、あるいは分析的に聞く意味で大変魅力的ですが、反面、聴き手も緊張感をもって音楽を受け取る事になり、人によっては刺激が強いだとか、聴き疲れがするといった印象を受けることになります。
これに対して調和的な音の鳴りは分析的に聞こうとすると、どうにも捉えどころがない、焦点の合わないような音に受け取られますが、反面、緊張感を強いられることに無く聴くことが出来る為、耳への負担も少なく長時間のリスニングには好適です。車のハンドルにおける「あそび」の程度の差異といった具合でしょうか。

Bialbero ε試作機は低域の制動力を緩め、あえて開放することで低音に弾性を持たせ、通奏低音の中から中高音が際立つような音のバランスが印象的で、常に音場をゆるやかに支配する低音と中高音のコントラストが明瞭に決まっており、そのなめらかな塩梅が魅力的に感じられました。非常に纏まりが良く感じられます。

高解像で広い音場が魅力的なPROTO1、絹のような滑らかさと聴き疲れが来ない音響バランスが魅力的なε試作機。この二つのBIalberoアンプは音楽に対する異なるアプローチでもって聴く人を愉しませてくれました。
聞くところによりますと、両機へのインプレッションを総合した結果、PROTO1寄りの音作りで製品版Bialberoの開発が進められていくとか。
両者が総合された結果生み出される製品版はいかなる音になるのか、楽しみにしたいと思います。

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by katukiemusubu | 2012-07-08 10:42 | Ecouteur(ヘッドホン)
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