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BeoPlay H3 & H6 登場

デンマークの高級オーディオブランドBang&Olufsen社のサブブランド「B&O Play」(ベオプレイ)より、
新型イヤホンBeoplay H3と新型ヘッドホンBeoPlay H6が発表されました。
現状判明している情報をまとめ置きます。



BeoPlay H3 & H6 登場_c0124076_16295538.pngバング・アンド・オルフセン社といえば、ヤコブ・イェンセンとのコラボレーションで知られる高級オーディオメーカーです。
最近はパナソニックやシャープをOEM元として、テレビも作っていますのでAV機器メーカーと言った方が正確か。

意匠に優れた製品が多く、そのデザインはMoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久収蔵品に選定されるほど。
あまりにデザインコンシャスであるためか、長い伝統を持ったオーディオメーカーにもかかわらず、いまいちピュアオーディオにおける存在感は薄いメーカーですが、その独特のクールで憂いを帯びた音には、一聴の価値が在ります。
「屋内における心地良い音響とは何か」をよく研究しており、部屋に合わせて自動で音響を調整するアクティブスピーカー「Beolab5」は菅野沖彦氏に激賞されました(ステレオサウンド151号)。

最近ではICEpowerデジタルアンプという、大変効率のよいアンプを各社に供給していることでも知られています。
ただ、バングアンドオルフセン社の製品には一つ問題がありまして、これは機器が大変高額であることでした。
例えば先程挙げたスピーカーBeoLab5ですが、その国内定価は2,797,200円。スバルBRZを買ってもお釣りが来る価格です。
要は、価格が大変高額であるので、なかなか取っ付きにくいメーカーとなっていました。
商品が高額であることは決して悪いことではないのですが、そのままでは新規顧客層の開拓がおろそかになり、結果、メーカーの未来が先細りに陥り易いものとなります。
それを配慮したのかB&O社は2010年代に入って、カジュアルブランドとして「B&O PLAY」を発表。
概ね10万円程度の価格帯で入手できる、身近な高級オーディオをラインナップしていきました。
2013年4月現在のラインナップは、Air Play対応の無線スピーカーやiPad向けのサウンドシステム、テレビなどでしたが、今回、これに続くものとしてイヤホン、ヘッドホンが発表されたのです。

4月10日の発表によりますと、イヤホンH3とヘッドホンH6の発売はヨーロッパで5月ごろを予定。国内は未定となっています。
→追記:バングアンドオルフセン・ジャパンより2013年秋の発売がアナウンスされました。
それぞれの価格はBeoPlay H3が249ユーロ、BeoPlay H6が399ユーロ。日本円では3万円と5万円くらいの価格帯となりましょうか。

BeoPlay H3はアルミボディをまとったイヤフォンで、後部に23の通気孔が開かれており、背圧を解放、イヤホンでは不足しがちな低音域を改善するものとして利用しています。
アルマイト加工されたアルミボディは黒、銀、紅の多色展開を予定しているとのことです。
ダイナミック型ドライバーを搭載し、振動板は10.8mm。
再生周波数帯域は20Hzから16kHzと、広帯域とは言いがたいですが、圧縮音源の再生には十分な帯域と言えましょう。

BeoPlay H6は40mmの振動板、ネオジム磁石を採用したダイナミック型ドライバーを搭載し、ドライバーは耳孔に合わせて傾けられており、内部には低音域改善用の気室が設けられています。
再生周波数帯域は20Hzから20kHz(22kHzとの情報もあり)と、非圧縮音源にも対応した帯域を持ちます。
両端が3.5mmのステレオミニプラグのケーブルが付属し、ケーブル交換にも対応しています。
低反発のイヤーパッドを採用し、革を多用したデザインも特徴的です。
なんでもニュージーランド産のなめし革を使用しているとか。

デザイナーはデンマークのヤコブ・ワグナー。
有機的造形と無機的造形といった対立する要素を一つの製品にまとめ上げる技量で評価を得ています。
家具メーカーHay社のRayラウンジチェアなど、良い作品です。

ヘッドフォンのH6は、黒と茶の二色展開の様ですが、特に茶色のモデルは大胆な色使いで大いに興味をそそられます。
大胆な色使いというと、SONY MDR-1Rのシルバーもこげ茶色を用いた斬新な色使いでしたが、性能(同じく40mm振動板)やサイズ、デザインの質の高さから言っても、H6はMDR-1Rの有力なコンペティターとなるのではないかと思われます。
少々価格帯は異なりますが、独走態勢にあるMDR-1Rシリーズ(価格.comの売れ筋1位を5ヶ月キープ)に一石を投じる製品。

MDR-1Rには、ソニーの耳型職人こと松尾伴大さんが音響エンジニアとして関わっていた筈ですが、
松尾伴大氏がデザイナーとして参加しているデザインプロジェクト、「参/MILE」のカーボンファイバー製スツール「TRIO」も良いものでした。

「重ねの美」とでも言うのか、有機的なモチーフを反復させることで、対偶の無機的印象をも与えることに成功した珍しい作品です。
「参/MILE」は他にスピーカーや携帯電話(SOLAR PHONE CONCEPTなど、今見ても素晴らしい)のデザインを手がけており、Elle Deco誌の選ぶ世界の若手デザイナーにも選定されておりますが、ヘッドフォンと言った比較的手が届きやすい分野に、デザインコンシャスな製品が出てきてくれることは嬉しいものです。

勿論、イヤホンもヘッドホンも、その本質は音。
どんなに外形が優れていても、中身が伴っていなければ優れた製品とは言えません。
その意味でもMDR-1Rはバランスのとれた製品でしたが、BeoPlay H3やH6はどうか、従来のイヤホンA8やヘッドホンForm2にまさる実力を備えているのか、また機会を見つけて試してみたいと思います。

※画像はBang&Olfsen社HPからの引用です。
by katukiemusubu | 2013-04-13 16:34 | Ecouteur(ヘッドホン)
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