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ブルーボトルコーヒー青山店 訪問記(レビュー・メニュー付)

平成27年(2015年)2月6日、日本進出。
アメリカ以外の初の常設店舗となる、江東区清澄白河店の開業から一ヶ月。
ついに都心にも「Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)」がオープンしました。

山手線の内側に出来た初店舗、青山店。
居宅から徒歩圏内ということもあり、こちらへ行って来ました。
はたして、どんな出来栄えなのか。
(追記:メニューリストは記事の最後にまとめております)



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3月11日、17時ころ表参道駅に到着。
青山通り沿いに形成された待機列に並びます。
係員さんに伺ったところ、概ね50分くらいの待ち時間ではないか、とのこと。

珈琲一杯に1時間。
少々馬鹿らしくも思われますが、開店当初なれば致し方なし。
はるばるカルフォルニア州オークランドから進出してきた企業なのです。
並ぶことに致します。

そうして並ぶこと、30分ほど。
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店舗の入っているビルの階段へ案内されました。
ブルーボトルコーヒージャパン青山店は南青山増田ビルの二階にあり、階段も待合いスペースとして利用されています。

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並び始めて40分ほど。
階段を登りきり、店内が見えてきました。
レジは2~3台。
開店当初ですから詰まるのかな、と思いきや、案外順調に流れていきます。
安定感有るオペレーション。

清澄白河店は喫茶スペースが小さいことで知られていますが、青山店は喫茶スペースが十分に存在。
見たところ席数は、室内・テラス席の合計で40席ばかり在りましょうか。
店内では、お客さん達が思い思いにくつろいでいます。

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店内にはブルーボトルコーヒーのグッズの販売コーナーも有りました。
セラミックドリッパーが1,800円、特製手ぬぐいが1,000円、特製バッグが5,000円など。
ハリオのセラミックミル(コーヒー豆挽き)が売っていたのも印象的です。
その他、専用カップアンドソーサーやコーヒー豆、グラノーラも売っておりました。

そうこう観察する内に、並び始めて50分。
レジに到達します。
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メニューをみると、ブレンド3種に、農園までこだわったシングルオリジンが4種。
ブレンドは日替わりで、この日は「ジャイアント・ステップス」でした。
アフリカ産豆とインドネシア産豆のブレンドコーヒーです、
価格は450円。
サイズ選択はありませんがスターバックスでいう「トール」(350ml)くらいの量で提供されました。

シングルオリジンもパプアニューギニア、コスタリカ、ケニア、パナマとなかなかの取り揃えです。
本格的な純喫茶(珈琲専門店)には及ばぬものの、スターバックスに匹敵するバリエーション豊かな配色。
コーヒー専門店らしく、フラペチーノ的なメニューはありません。
シングルオリジンは550円からで、品種により異なる価格設定がなされています。
この日の最高級品「パナマ・ゲイシャ種」は一杯1,200円とのことでした。
他店で豆を買っても一杯あたり600円くらいしますから、妥当な価格帯と申せましょう。

選び抜かれたシングルオリジンが美味しいのは当然のこと。
まずはオーソドックスな味、このお店の標準的な味を求めたく思い、ブレンドを持ち帰りで注文。
また店内限定という、コルタードコーヒー「GIBRALTAR(ジブラルタル)」を店内で頼みました。
コルタードコーヒーとはエスプレッソを牛乳で割ったもののこと。
呼び出し用の名前を伝えて、カウンターへ移動します。

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カウンターの様子。
一杯一杯、ペーパードリップされていきます。
注文の都度、機械式のグラインダーで豆を挽き、ペーパーフィルターを磁器フィルターにセット。
メリタ式(抽出穴一つ)の要領で、コーヒーを淹れていきます。
一杯あたりにかかる所要時間は3分ほどでしょうか。

コーヒーの他にもパウンドケーキ(450円)やベニエ(米風ドーナツ、600円)、ポーチドエッグ付きトースト(850円)などが注文できます。
厨房(オープンキッチン)をみたところ、ペニエやトーストは注文の度に調理されており、しっかり手間をかけている様です。
出来立ての提供。良いですね。

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圧巻であるのは、巨大なエスプレッソマシン。
極細挽きにされた珈琲豆が、エスプレッソ担当者の手によってプレス器具で押し固められ、絶大な気圧をもって抽出されていきます。
漂う蒸気。心地よい香り。
私は自宅でもエスプレッソを淹れることを常としていますが、これほどの物量投入はできません。
まさに店舗ならではの仕事です。

店内の一人掛けソファに腰掛けて、厨房の様子を観察して5分ほど。
私の名が呼ばれました。
早速、エスプレッソを受け取りに行きます。

目の前でラテアートが施され、出来上がった品がこちら。
ブルーボトルコーヒー「ジブラルタル」(480円)。
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綺麗な植物の文様が施されています。
フォームドミルクとエスプレッソの階層もはっきりしており、良い出来栄えです。

早速、一口。
「おお!」
と声が出るほどに美味、良い仕上がりでした。

アラビカ種、特にエチオピアのモカ・ハラーを思わせる濃厚なコクに、インドネシアのマンデリンを思わせる苦味。
これが濃厚な温牛乳と良く合い、素晴らしい舌触りを実現しています。
ベルベットの様に滑らかです。
そして牛乳に負けるのではなく、むしろ牛乳と相乗効果を生み出す珈琲の旨味。
芳醇な香りが口内をたっぷりと満たし、鼻へと抜けてゆきます。
第一に目で楽しめ、第二に口で楽しめ、最後に余韻にひたれる。
実に濃密で、贅沢な味わいの飲み物です。
「ジブラルタル」、一押しの商品と申せましょう。

そんなラテアート付きエスプレッソ「ジブラルタル」を飲み終わった頃。
再び私の名前が呼ばれ、テイクアウト用のブレンドが出来上がった旨が告げられました。
店内用の飲み物は硝子カップでの引き渡しでしたが、持ち帰り用のブレンドは耐熱紙カップでの引き渡し。

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持ち運び用に紙袋を所望すると、ちゃんとカップホルダーまで用意してくれて、準備万端です。
少し気になったのは、紙カップの蓋が半開放式である(一部開いている)こと。
マクドナルドのコーヒーの如く、しっかりと閉じられる蓋であると、より持ち運びに便利かと思われます。

帰りしな、ドリップしたてのブレンドコーヒーを一啜り。
・・・まあ、普通です。
ペーパードリップらしい、サラリとした味わいで、バランスも悪くない。
キリマンジャロと思わしき爽やかな酸味と、モカらしきフルーティーさ。
ミディアムボディと称すべきコクは、ブレンドに加えられたロブスタのものか。
ドリップ担当スタッフ(店員)への研修のほどが伺えます。

ただ、若干淡白。
説明書きにいうほど「力強くたくましい」訳ではなく「濃厚」でもありません。
国内の純喫茶に見られるような感動的なドリップには至っておらず、そこはチェーン店舗の限界と申せましょう。
つまりドリップコーヒー単品で言えば、1時間並ぶほどの価値はない。
抽出技術の程度を言うならば、現状のところ、日本の本格喫茶店に及ぶものではありますまい。

最近はスターバックスの53店舗限定抽出システム「クローバー」など、機械抽出の水準も向上しており、単に平均的な手動抽出をしただけでは褒めるに足らないとも言えます。
ブルーボトルコーヒーはせっかくハンドドリップを訴求する店なのですから、更なる技術の向上を望みたく思います。
よく蒸らし、廻し、より豆の個性をブレなく引き出せる様な抽出を。

ともあれエスプレッソ「ジブラルタル」の味は感動的。
ブレンドの価格も450円と、平均的な喫茶店並ですので、行列が解けたら、普段使いにも良いものかと思われます。
特にロースター(焙煎所)を併設する都合上、カフェスペースが小さい清澄白河店に対し、青山店は座席数が多く、席間もそれなりにあるため、ゆっくりくつろげます。

ドリップ技術もチェーン店として見れば高い標準に有るわけで、コーヒー豆の品質も良好。
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シングルオリジン(シングルエステート)の豆については、店頭で販売もしております。
従来のチェーン店より一歩高いクオリティのコーヒーを手頃な値段で提供する。
今後が楽しみなお店でありました。

3月17日追記
近くを通りがかったら10分程の待ち時間であったため、再訪しました。
「コスタリカ・ディヴィノ・ニーチョ」(シングルオリジン・ドリップコーヒー)と「ポーチドエッグ&トースト」を注文。

「コスタリカ・デヴィーノ・ニーチョ」ですが、明らかに蒸らし時間が足りない。
コスタリカ産の豆は、本来、豊かなコクと優れた酸味、フローラルな香りが特徴的なコーヒー豆です。
しかし提供されたものにコクはなく、酸味ばかり尖って、雑味となってしまっている。
酸味の強さをして「フルーティー」と言う事も可能でしょうが、果実感有る酸味というより、単に酸っぱいだけであり、そこまでの洗練はない。

コーヒー豆の使用量は目算で15gほど。
アメリカン(西海岸系)らしく、焙煎は浅め。
これで300ml程のコーヒーを淹れる訳ですから、薄味になるのは仕方ないとしても、雑味が出ているのはいただけません。
個々の技量差が味を左右する、ハンドドリップの欠点が出ております。

「日本の純喫茶をモデルにブルーボトルコーヒーを開業した」
社長のジェームズ・フリーマン氏は語っていました。
しかし、時としてこの様なコーヒーを出してしまう以上、残念ですが、現状では純喫茶のレベルには程遠いと言わざるを得ません。
現時点で言えば、目算20gの豆を用いてタンピング、機械抽出するエスプレッソの方がお勧めです。

一方、「ポーチドエッグ&トースト」。
パンは噛むほどに甘味が出て、非常に美味しいのです。
ポーチドエッグがいびつな形であるのは、ホテルならぬ喫茶店なのですから致し方なし。
しかし付け合せのベビーリーフサラダとトマト。
塩を振りかけすぎではあるまいか。
口に含んだ瞬間、塩辛さを感じるというのは尋常ではありません。

というわけで、二回目の訪問。
開店10日目にしてオペレーションの乱れが目立つ、少々期待はずれの青山店でありました。
今後の改善に期待したいところです。


《おまけ・訪問時のメニュー表》

ドリップコーヒー
シングルオリジン:550円〜(選択可・価格は品種により異なる)
ブレンド:450円
オーレ(カフェ・オ・レ、コーヒーの牛乳割り):500円

アイスコーヒー
ニューオーリンズ(チコリと砂糖で風味づけした甘い冷珈琲):500円
シングルオリジン:500円(一種類・日替わり)

エスプレッソ・ドリンク
エスプレッソ:450円
アメリカーノ(エスプレッソのお湯割り):450円
モカ(カフェ・モカ、エスプレッソの上にホイップクリームをのせ、ココアパウダーとチョコレート・シロップを加えたもの):600円
マキアート (エスプレッソに少量のフォームドミルク):460円
ジブラルタル(エスプレッソに半分程度のフォームドミルク):480円
カプチーノ (エスプレッソに同量程度のフォームドミルク):500円
ラテ    (カフェ・ラッテ、エスプレッソに大量のフォームドミルク):520円
※マキアート→ジブラルタル→カプチーノ→ラテの順に加える牛乳の量が増えていきます。ラテはたっぷり。
それぞれのエスプレッソ・ドリンクにつき、豆をシングルオリジンへ変更:+100円(一種類・日替わり)

フードメニュー
パウンドケーキ:450円
ベニエ(アメリカ風の揚ドーナツ):600円
ポーチドエッグ付きトースト:850円
※他にクッキーなど。300円からの品揃えがありました。
by katukiemusubu | 2015-03-12 01:53 | 珈琲、紅茶、エスプレッソ
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