平成26年(2014年)9月3日(水)から同4日(木)にかけての山行記録です。
暴風雨による前回の敗退から二ヶ月。 槍ヶ岳日帰りを果たし、再び西穂高岳から奥穂高岳への縦走を企図しました。 H26.9.3-9.4登山リンク 前編:本記事 後編:西穂山荘〜焼岳トレッキング 9月3日14時。 穂高連峰は雲の中でした。 ロープウェイは雲を抜け、また雲へと入り、グイグイと標高を上げていきます。 ときおり雲海が見渡せ、これはこれで乙なものです。 心配なのは明日の天気。 山の天気予報によれば「晴れ」とのことでしたが、天気図を見るに低気圧発生の恐れがあります。 しかも日本海側にある高気圧とぶつかって停滞しそうな勢いです。 既にして賽は投げられている。 いまさら気にしても仕様がないので、先を急ぎます。 雨がちらつく千石尾根の森を抜け、西穂山荘(本日の宿泊先)へ。 15時40分、西穂山荘着(標高2,385m)。 穂高の主稜線はすっかり雲の中です。 雨が本降りでないことが慰めか。 宿泊手続きをすませ、部屋へ。 同室者は6名、ちょうど定員一杯の数でした。 9月初旬は繁忙期。 一つの布団を二人で分ける、すし詰めの山小屋を懸念していましたが、なんとか大丈夫の様です。 綺麗な洋式トイレが新設されていました。 外にでることなく閑所へ至ることが出来、安心感があります。 北アルプスの山小屋最大の蔵書を誇るという図書室で本を読む。 西穂山荘の食事(夕食)。 相変わらずここの豚汁は美味しい! お代わりなどしつつ、テーブルを囲んだ方々と山話に花を咲かせます。 わいのわいのしていたら、山小屋の方から天気の説明。 発達しつつあった低気圧はついに穂高へと至り、上高地を挟んだ蝶ヶ岳を含め、みな雲の中とのこと。 困りました。 夕食後、談話室で清酒「大信州」を注文。 旨口の日本酒を舐め舐め、地図を開きルートを検討します。 そこに西穂山荘の主人・村上文俊氏がいらっしゃった為、氏とお話。 「明日、西奥縦走を考えているのですが、難しそうですね」 「ええ、高気圧が張り出してくれれば行けると思いますが、可能性は低いでしょう」 再びの悪天候。 悩ましいものです。 ひとまず早朝発で西穂独標(標高2,701m)まで進出し、様子を見ることにします。 21時、消灯時間とともに就寝。 9月4日、午前3時50分起床。 身支度を整え、ヘルメットを装着。 ヘッドランプを点灯し、4時20分ころ出発です。 辺りは闇。 夜の褥に包まれつつ、灯りを頼りに歩みを進めます。 5時、独標前のピーク(お花畑)に到達。 白みゆく空に、独標のずんぐりとしたシルエットが浮かび上がりました。 ここからは岩場の連続。 足元に注意を払って、先に進みます。 5時10分。西穂独標直下。 のそのそと崖を登ります。 有効視界は40m。風速は体感で10m/秒を下回る程度。 素晴らしいとは言えないまでも、悪くないコンディションです。 5時20分、西穂独標に到達。 若干風速が上がり、有効視界は30m程度。 7月16日の様に、一面乳白色でほとんど展望が効かない、という程ではありません。 独標(第11峰)を越え、ピラミッドピーク(第8峰)まで進むことにしました。 稜線上を見ると、先行者が一名。 ぼんやりとした霧の中を、青い影が動いて行きます。 ピラミッドピークの直前で追いつきました。 「おはようございます!」とご挨拶。 いやぁ、微妙な天気ですなあ、などと話をしつつ、岩稜帯を越えて行きます。 5時45分、ピラミッドピーク(標高2,750m)に到着。 西穂高岳では西穂独標以降のピークに「第◯◯峰」という番号が振られているのですが、 これは西穂高岳山頂(第1峰)へ至るまでの越えるべきピーク数を示しています。 ピラミッドピークは第8峰。 あと7つ峰を乗り越せば、西穂高岳山頂(標高2,908m)という訳です。 されども天候は悪化。 風が強くなり、徐々に視界が閉ざされてきました。 有効視界20m、風速15m/秒ほど。 風に雨が混じり、低気圧の中にいることが伺えます。 先行者の方は「私はこの辺で引き返すことにします」ということで降りて行かれました。 前回に比べればマシですが、ハイマツ帯ならぬ岩稜帯で暴風に吹かれては、ひとたまりもありません。 第7峰まで進出し、様子をみることにしました。 しかし、残念ながら回復傾向は無し。 先ほどまで望めていた第8峰のピラミダルな山容もすっかり姿を消しました。 もはや、これまで。 これ以上の進出は蛮勇というものでしょう。 そして蛮勇は勇気ではありません。 西穂山荘への撤退を開始します。 強風時は岩にへばりつき、風の止んだ時を見計らって、一路西へ。 第10峰のナイフリッジ(馬の背)を一気呵成に通過し。 第11峰、西穂独標を登り返し。 独標直前のピーク(お花畑)まで戻ったところで、先行者と再会しました。 天気ばかりはどうしようもありませんね、等とお話しつつ、山荘へ戻る。 →後編「西奥縦走転進! 西穂山荘-焼岳トレッキング」へ続く
by katukiemusubu
| 2015-05-19 18:39
| 登山・トレッキング・温泉
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