2017年(平成29年)2月9日(木)発売。
耳を塞がないイヤホン「ambie sound earcuffs(アンビー サウンド イヤーカフ) AM-01」を入手しました。 感想・評価のほか、電車内での音漏れチェックや繁華街、運動時におけるフィールドテストの結果を記しおきます。 <商品情報・入手方法> 2017年(平成29年)2月9日(木)発売。 WiL Fundとソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社による共同出資会社「ambie(アンビー)」の第一作目となる製品です。 価格は税抜5,500円(税込み5,940円)。 イヤホンではありますが、ビックカメラやヨドバシカメラなど家電量販店での販売はなされておらず、 メーカー直販のほか、新宿・伊勢丹メンズ館や二子玉川の蔦屋家電、ロンハーマンの一部店舗(みなとみらい・大阪・千駄ヶ谷・京都・福岡)で購入することが出来ます。 現状のところネット通販は直販のみで、Amazonなどでは買えません。 なぜか"名古屋飛ばし"されていて悲しい。 ・リンク集 1.ambie(アンビー)社の製品紹介ページ 2.直販サイト(送料無料) カラーは、黒・白・青・橙・茶・緑の五色展開です。 いずれも原色というよりはパステルカラー寄りのカラーリングで、シリコン製の外装と相まって柔らかな印象を受けます。 この記事を書いている2月10日現在、直販サイトでは、一部のカラー(黒や白など)が初回生産分完売。 次期ロットの生産を待つことになります。 私は伊勢丹メンズ館で、ブラウン(Toypu Brown)を購入しました。 販売場所は伊勢丹メンズ館8階「チャーリー・バイス(Chalie Vice)」。 5色全てが展示されており、実際に手に取れるほか、試聴も可能です。 試聴場所には全身鏡も用意されており、装着感の確認や服装とのコーディネートを図ることが出来ます。 平日にも関わらず売り場は大賑わいで、本製品の話題性の高さ、人気が感じられました。 <感想・評価> サウンドイヤーカフの最大の特徴は、"耳を塞がない"イヤホンであることです。 では本当に、耳をふさがずに音を聞くことが出来るのか。とりあえず試聴することにしました。 装着は実にシンプルで、耳に引っ掛けるだけ。早速、再生ボタンを押しました。 ・・・いやはやビックリ。 まったく耳を塞いでいないにも関わらず、しっかりと音が聞こえてきます。 同じ様に耳を塞がないヘッドホン・イヤホンとして骨伝導方式がありますが、これと比べても格段にクリアです。 ペラペラ、スカスカの音ではなく、ちゃんとしたオーディオらしい音。 しかも軽量。本体重量はわずかに5.2gです。 さすがに身体を震わす様な重低音はでませんが、低音から高音までバランス良く音が出ています。 構造上、低音は少なめですが100Hzを越えたあたりから徐々にはっきりとしてきます。 「耳の裏側のドライバーユニットで生み出された音を、音導管を用いて誘導し、耳道にむけて指向性を与える」という、この手法。 要は、音をビーム化して鼓膜へ向けて打ち出しているのですが、この技術がもたらすのは新感覚の音響体験です。 外の音、人の話し声、館内のBGM。それら環境音は問題なく聞こえます。 それにも関わらず、ウォークマンから再生された音楽も同時に、かつ自然に聞こえるのです。 しかも音はビーム化され、直進性を与えられているため、音漏れはごくわずか。 さすがに耳を完全に閉じるカナル型にくらべれば音は漏れますが、オープン型にくらべれば音漏れは少ない印象です。 広く外に開かれながら、自分だけの音楽を聞ける。パブリックでありながらパーソナル。 なんとも驚くべき製品と言えます。 シリコン製の外装ボディであるため、肌当たりもやわらか。 耳型専門の職人を置くソニーらしく、多様な耳形状に対応しています。 他に試聴されていた方々も問題なく装着できている様でした。 超指向性を持った音が直接耳に飛び込んでくるため、音場感も独特です。 包み込まれる様な立体感ある音場。サラウンドというか、スピーカーが鳴っている様な感覚があります。 そのため、再生音と環境音が程よく混ざり合い、違和感なく音を聞くことが出来ます。 5,500円と比較的手頃な価格帯ですが、ソニーらしく、駆動力抜群のCCAW(銅クラッドアルミ線)ボイスコイルを用いた9mmのドライバーユニットを採用。 ほとんどが内磁性磁気回路のイヤホン業界においては珍しい、こだわりの外磁性磁気回路を搭載しています。 有効周波数帯域など、詳細スペックは公表されていませんが、 ソニーが2015年に発売した「h.ear in(MDR-EX750)」に似たスペックシートです。 マイク付リモコンもついているため、携帯電話・スマートフォンの着信を受ける分にも便利そうです。 シリコン製のイヤーピースは、交換用の予備があらかじめ1セット付属しています。 親切な作りです。 早速購入し、街中での使用感や、電車内での使用感を試してみることにしました。 <フィールドテスト> 1.街中での使用感 街中でも支障なく使用することが出来ます。 外の音が聞こえつつも、音楽もしっかり。 ほとんど音量を上げる必要もありません。 新宿駅東口の雑踏の中でも、十分な音楽鑑賞ができました。 街歩きに好みのBGMが加わり、さながらミュージックビデオの気分です。 ただし、歌舞伎町の凄まじい騒音の中に入ると、指向性が乱されるのか、音を聞くことはできませんでした。 もちろん音量を目一杯あげれば聞くこと自体はできるのですが、外の音とあいまって非常にうるさく感じます。 通常の使用に耐える環境音としては、おおむね80dB(デジベル)くらいでしょうか。 都営地下鉄で言いますと、都営新宿線は大丈夫でも、都営大江戸線はダメという感じです。 2.電車内での使用感 中央線快速列車に乗車しました。 時刻は19時。すっかり満員電車です。 おおむね鉄道の騒音は70dBくらいなものですが、これくらいでしたら問題なく音楽を視聴できます。 気持ち一目盛り分、音量を上げた方が良いかも。 電車内で気になるのは、なにより音漏れです。 何度も外しては音量を変え、音漏れしていないか確認を行い、実験してみました。 結果としては、通常音量で使う分には、音漏れは「ほぼ無い」ものと言ってよいかと思われます。 ただし、音量を大きくすれば、その分ビームも反射されますので、普段から大音量で聞く方は注意が必要かもしれません。 サウンドイヤカフ特有の包み込むような音場感が、電車のガタンガタンといった音と相まって、なんとも不思議な心地。 電車内にスピーカーを持ち込んで音楽鑑賞している様な気分になり、なんとも開放感ある音響体験です。 しかもストレスなくアナウンスが聞き取れるため、構内放送の聴き逃しが無く、安全です。 3.店舗内での使用感(人との会話はできるか) あんまり行儀の良い話ではございませんが、 音楽をかけたままでも人と話すことができるか、スターバックスで試してみました。 違和感なく人の話し声が聞き取れるため、特にこれといった差し支えはなく、会話が成立します。 細かな注文のやりとりも問題なく成立。店内BGMにかぶさる形で音楽が聞こえてきます。 ただ、会話の時くらいは音楽を消しても良いと思いますが…。 4.スポーツ時の使用感・装着感 着用したままで、300mほど走ってみました。 ここで確認すべきは装着感(着用感)の変化です。ズレてしまわないか、はずれてしまわないか。 結論。ズレもしなければ、外れもしません。 もちろんユーザーの耳次第というところがありますが、複数の硬度のシリコンをかけ合わせた筐体が耳に優しくフィットするため、殆ど動くことがありませんでした。 もちろん、本機はBluetooth搭載といった無線機ではなく、有線機ですので、コードを引っ張ればそれまでですが。 耳をはさみこむという形状から、すぐに耳が痛くなる懸念もありましたが、 私の場合、違和感を覚えだしたのは連続着用3時間を越えてからでした。 通常のイヤホンとは異なり、足音が反響してくぐもる事もなく、大変快適です。 5.自転車通行時の使用感 自転車に乗った際のイヤホン使用の可否については、各都道府県の「道路交通規則」に定めがあります。 東京都の場合、東京都交通規則(法令リンク)の8条5号がこれを定めています。 いわく「イヤホーン等を使用して…安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」。 通常のイヤホン使用は外音を阻害するため、これに該当し、道路交通法71条9号、同120条1項9号により5万円以下の罰金の対象となります。 一方、アンビーサウンドイヤカフの場合、外音はまったく阻害されませんので、これに該当しないのではないかと考えられます。 とはいえ、取扱説明書をみると「運転中に本機は絶対に使わないでください」との警告表示がありました。 そのため、自転車運転時の使用は想定されておりません。 私有地内で若干自転車を漕いでみましたが、風切音がある程度生じるものの、実用範囲内ではあります。 とはいえ、非推奨の使用方法ですので、決してお勧めはいたしません。 6.防水・防滴機能について 2月10日(金)、東京は雪でした。 今回のフィールドテストのさなかにも何度か雪が降りましたが、テストはそのまま続行。 防水・防滴機能はついていないものの、デリケートな精密部品の多くがシリコン筐体に包まれているため、存外丈夫です。 もちろん水に浸かったり、大雨に降られたりしたらダメでしょうが、意外な堅牢性を感じました。 ただし、これまた非推奨の使用方法ですので、あくまで自己責任の下に使用ください。 (この項目を含め、本記事によって生じた如何なる損害についても、本サイトは一切の責任を負いません。) <付記:オーディオファイル向けのマニアックなメモ> ・持ち運べる超指向性スピーカー風イヤホンとでも言うべき存在。 ・もちろん音域バランスとしては若干ハイ上がりの傾向があるが、適切な装着をすれば、想像以上に低域も出る。 ・もっとも近しい音はソニーのPFR-V1。イヤーカフAM-01は次世代のパーソナルフィールドスピーカー。 ・装着(着用)時の注意点としては、筐体を地面に対しほぼ水平に保つこと。すると、耳道にちょうどよく音導管があてはまる。 ・逆に地面に対し垂直に近い傾きとなると、音導管が明後日の方向に向き、スカスカの音となってしまう。初めのうちは鏡を見ながら調整すると良い。 ・鏡がない場合、手で耳を覆うことで調整が出来る。耳を覆って聞こえてなかった音域(低域など)が聞こえるようなら指向性がずれている証拠。適切に耳を挟み込めれば、耳を覆う場合と覆わない場合の音の差はごく少ない。 ・ドライバーユニットは良質で、アンプを変えることでしっかりと音色も変化する。解像感もそれなりにあり、なかなかの高音質。 ・現状望みうる、最高のながら聴きイヤホン。現実に1枚、音楽のレイヤーをかぶせる様な具合で、日常生活にBGMを添える。さながら音のAR(拡張現実)です。 <Tips:低域再生の改善について> 本機で用いられた音導管技術の初出は、PFR-V1の「エクステンデッドバスレフダクト」ではないかと思いますが、 他に音導管をフィーチャーしたイヤホンとして「XBA-100」があります。 PFR-V1や本製品AM-01の特質として、「密閉された空気を前提としないため、低音が弱くなる」という欠点がございました。 PFR-V1ではこれを補うため、低域補正のヘッドホンアンプ「BAM-P1」を用意していたのですが、これをAE-01に使ってみるとぴったり。 不足していた低音がしっかりと再生され、全帯域に渡って力強い音となります。イコライザーを用いた補正でも同様でした。 ただし、低音域(特に100Hz以下)は殆ど指向性がありませんので、盛大に音漏れするようになります。これを考えると、AM-01では、音漏れをとどめ何処でも使える様にするために、“敢えて”低音少なめのチューニングとしているのかも知れません。
by katukiemusubu
| 2017-02-11 01:28
| Ecouteur(ヘッドホン)
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