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秩父ウイスキー祭2018③ 秩父ウイスキー祭限定ボトル 2016・2017・2018 垂直テイスティング レビュー編(前夜祭 みやのかわナイトバザール)

第5回秩父ウイスキー祭りへ行って来ました。
前日の秩父周遊をふくめ、2018年(平成30年)2月17日・18日の旅行記を書き置きます。
第三弾は前夜祭編。秩父ウイスキー祭記念ボトルの垂直テイスティングを行います。

秩父グルメ周遊は第一弾、秩父蒸溜所見学記は第二弾、ウイスキー祭本編は第四弾を御覧ください。

<秩父旅行記2018 リンク>
第三弾:秩父ウイスキー祭前夜祭 みやのかわナイトバザール編(付記:祭記念ボトルの垂直テイスティング レビュー)←本記事

※関連リンク:秩父ウイスキー祭2019 記念ボトルのレビューはこちら




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秩父蒸溜所の見学を終え、秩父市街地へ。

西武秩父駅前の「祭りの湯」で天然温泉と人工温泉の双方に浸かり、湯を上がった頃にはすっかり夜でした。
「祭の湯」は休憩スペースが広く、追加料金で岩盤浴も楽しめます。
駅併設のスーパー銭湯であるため利便性も抜群で、なかなか良い温浴施設です。
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西武秩父駅から街の目抜き通りをぶらぶら歩くこと約10分。
「みやのかわナイトバザール」が開催されておりました。
本町交差点から200mほどが歩行者天国となっております。

地元の「みやのかわ商店街振興組合」による地域活性化の催しで、その歴史は長く1987年(昭和62年)から開催されています。
現在は年5回の開催で今回で278回目、31周年の伝統を誇る「夜市イベント」の草分け的な存在です。
2月17日(土)は秩父ウイスキー祭の前夜祭的な位置づけもあり、開催の運びとなりました。
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秩父には、日本酒(清酒)蔵・焼酎蔵・ワイナリー、そしてディスティラリー(蒸溜所)が存在し、
一つの自治体で殆どの酒類を賄うことが出来る非常にアルコールのバリエーションに富んだ地方です。
2017年には新たにブルワリー(ビール醸造所)が登場し「秩父の地酒」の幅はさらなる広がりを見せています。

今回のナイトバザールではこれを記念して「第一回 ちちぶ地酒祭り ちょい呑みナイト」が開催。
地酒に地焼酎、地ワインに地ビール、地ウイスキー。
この5種それぞれ一杯に、ちょっとしたおつまみとお楽しみ抽選券が付いて3000円。
たいへんお買い得な周遊チケットが売り出され、瞬く間に完売しておりました。

商店街の随所に屋台が出され、遠くは長崎や岩手からの出店ブースも御座いました。
地元勢も負けておらず、お茶屋さんや映像屋さん、金物屋さんまでも自らの秘蔵酒を次々出品。

特に「清水金物」さんはイチローズモルトのプライベートボトル2種を1ショット1000円で提供しており、行列が出来ておりました。
樽出しシングルカスク(カスクストレングス)で1000円、採算度外視の素敵なお祭り価格です。
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もちろん、秩父ウイスキー祭実行委員会もブースを出店。
氷点下の気温もなんのその。黒山の人だかりでありました。
目玉商品は秩父ウイスキー祭会場限定ボトルの試飲販売。

WWA(World Whiskies Awards ワールドウイスキーアワード)2017で世界一に輝いた限定ボトル、
「イチローズモルト 秩父ウイスキー祭 2017」も含め、ハーフショット1000円での提供でした。
折角ですので、3種全てをいただき、垂直テイスティングと洒落込みます。

以下、簡単なスペックシートとテイスティングノートを書き置きます。
祭限定ボトルは基本的にカスクストレングス、樽出し無加水であり、ナチュラルカラー(無着色)、ノンチルフィルター(無濾過)。
樽の個性がそのままに反映された正真正銘の原酒ですので、樽番号なども記載いたします。
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<レビュー> イチローズモルト 秩父ウイスキー祭限定ボトル 2018

【スペック】
・樽番号 #2633、クリームシェリーホグスヘッド樽。
・クリームシェリー(Cream Sherry)とは甘口のシェリー酒のこと、一般的なオロロソ・シェリーは辛口。
・2010年6月製造、2018年1月ボトリングの7年熟成。
・使用大麦は英国Braemar(ブレイマー)種。
・アルコール度数59.6%。
・限定数285本。

【テイスティングコメント】
・黄金の午後を思わせる琥珀の水色。
・上立ち香は、豊満で甘い芳香。焦がした砂糖菓子。
・口に含むと、よく熟したストロベリーを連想させる甘さと果実感のハーモニー。
・フルーツポンチというよりも、半生のドライフルーツにシロップを掛けた様な凝縮感。
・一見バーボン樽熟成に思われるが、加水すると厚みが増し、こってりと旨口。
・含み程度に硫化水素感、硫黄臭があり、シェリーだと気付かされる。
・余韻は長く同一方向。イースト香がふわりと香る。

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<レビュー> イチローズモルト 秩父ウイスキー祭限定ボトル 2016

【スペック】
・樽番号 #1431、ミズナラヘッズホグスヘッド樽
・ヘッズ(Heads)の名の通り、鏡板にミズナラを用いた樽。
・いわゆる(全部が)ミズナラ樽とは異なる点に留意。
・2011年9月に樽詰め、2016年1月にボトリングの4年熟成。
・使用大麦は英国Braemar(ブレイマー)種。
・アルコール度数61%。
・限定282本。

【テイスティングコメント】
・新緑の透過光を思わせる明るい水色。
・上立ち香は、引き締まった針葉樹林の香り。
・口に含むと、まだ青い梨。シャクシャクとした切れ味がある。
・粗っぽくはないが、いかんせん辛さが際立つ。やはり若い。
・加水すると、少し苦味があり山菜の様。コゴミを連想させる。
・余韻は比較的短く、樽香の個性が際立つ。

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<レビュー> イチローズモルト 秩父ウイスキー祭限定ボトル 2017

【スペック】
・樽番号 #2627、フィノホグスヘッド樽。
・フィノ(Fino、フィノワイン)はシェリー酒の一種で、オロロソと並ぶ辛口シェリーの代表格。
・2010年6月に樽詰め、2017年1月にボトリングの6年熟成。
・使用大麦は英国Braemar(ブレイマー)種。
・アルコール度数59.2%。
・限定293本。
・WWA2017、ワールドベスト・シングルカスク・シングルモルトウイスキー受賞。

【テイスティングコメント】
・時間をかけて煮出した紅茶を思わせる深い臙脂の水色。
・上立ち香は、たおやかに甘く和三盆を思わせる。
・口に含むと、臙脂の中に層をもった味わいが踊る。
・はじめは甘く干菓子の様だが、厚みをもって広がりショコラオランジュの様。
・そのフルーティな口当たりが架橋してレーズン、最後にクリームチーズ。
・良く出来たデザートコースの様な構成に驚かされる。
・加水すると円やかな味わいが増す。
・余韻は非常に長く、そして整っている。


【垂直テイスティング 短評】
・「WWAシングルカスク部門一位か、どんなもんかしらん」といった軽い気持ちで飲んだら、2017年記念ボトルの重層的な味わいにど肝を抜かれました。
・こうなると今年のWWA2018日本予選で、シングルカスク部門を一位通過した「イチローズモルト シングルカスク #2067」が(ピーテッド原酒)も気になるところです。
・2016年記念ボトルのミズナラヘッズについてはあまりピンと来なかったのですが、2018年記念ボトルも大変面白く思われました。

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三種の原酒を味わっているうちに、時間はいつのまにやら20時ちかく。
ほっとすぽっと秩父館でお楽しみ抽選会が開かれるとのことで見物に行きました。

ベンチャーウイスキーの肥土伊知郎社長(写真左側、グレイの外套の人物)も臨席し、
秩父市商店連盟連合会の島田憲一会長(写真中央、ライムイエローのブルゾンの人物)の音頭取りの元、抽選会がはじまりました。

平昌冬季オリンピックの結果を受けて景品が追加されるなど、嬉しいサプライズもありつつ、会はつつがなく進行。
その後、ほっとすぽっと秩父館の屋内井戸「柞の井戸(ははそのいど)」や屋敷神を見学し、宿へと向かいました。

氷点下の気温に風速5m/sを越える風の中での開催となりましたが、これに勝る熱気。
街頭には祭り囃子の太鼓衆やジャズバンドなども出展し、Ichiro's Malt提供のミズナラ焚き木が各所に設置され、
秩父の文化レベルの高さを実感する夜祭りとなっておりました。


by katukiemusubu | 2018-02-20 08:00 | 登山・トレッキング・温泉
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