ジャパニーズ・ウイスキーの終売・販売休止・代替情報 2018春(H30春の国内ウイスキー情勢/サントリー・ニッカ・イチローズモルトなど)

国産ウイスキーの現状について。
2018年(平成30年)春の概況と、地ウイスキー各社を含む定番商品ラインナップ一覧表を書き置きます。
5月15日追記:日本経済新聞 電子版にて響17年・白州12年 販売休止の報道がなされました。
6月2日追記:サントリーに続き、ニッカからも新たな終売情報が発表されました。記事中紫文字にて記載しております。
6月18日追記:大阪北部地震の影響で山崎蒸溜所が(設備点検のため)生産停止中です。現状での再開の目処はたっておりません。
       → ロイター通信によると、6月19日(火)午前9時より生産が再開始されました。
       →地震の影響か、山崎NV180mlボトルの出荷が再停止となっております。記事中にも記載を追加しました。
6月20日追記:ブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイートの発売情報を記載しました。





<概況:2018年春の日本産ウイスキー>

「マッサン」は終わってもブームは続く。
にわかに活性化したウイスキーブームは既に四年目に達し、もはや安定的な人気を博している様にも思われます。
日本国内だけでなく世界でも同時多発的なブームが生じており、特に高級価格帯ウイスキーの人気は鰻登りです。

問題は、ウイスキーにおける量産難易度の高さ。
昔つくった原酒を熟成させて出荷するというウイスキーの性質上、
現在の高まった需要に対応できるほどに供給(量産)が可能な訳ではないのです。

特に高級価格帯ウイスキーに使われる原酒はウイスキーの生産量が絞られた「冬の時代(90年代〜00年代)」に生産されたものが中心。
ただでさえ絶対量が少ないにも関わらず需要は増加する一方ですので、これに応じた出荷を続ければ貯蔵原酒は減るばかり。
いわば「貯金の切り崩し」状態に突入しており、国内外で深刻な原酒不足が発生しています。

ケチケチせずに需要に応じた生産をして原酒を使い切ってしまえば良い、と思われるかも知れませんが、
そんなことをすれば次の原酒が熟成されるまでの十数年間「ウイスキー市場」そのものが消滅することになってしまい現実的ではありません。
ブームの熱狂の影では、市場の文化を何とかして維持すべく関係者各位の努力が続けられています。

こうした努力の一環として、ここ5年ほど、酒造各社はライナップの刷新に着手。
2014年(平成26年)にはサントリー「山崎10年」「白州10年」が終売し、NA(ノンエイジド品)へ移行。
2015年(平成27年)にはサントリー「響12年」が休売ののち終売し、ニッカ「余市」「宮城峡」の年数表記物(エイジド品)が全面終売となりました。
2016年(平成28年)、2017年(平成29年)は比較的小規模な変動(サントリーの「角」縮小、ニッカの「オールモルト」終売)に留まりましたが、ここに来て2015年に次ぐ大変動がやってきました。

2018年(平成30年)6月、サントリー「白州12年」休売予定(最終出荷は5月)。
2018年(平成30年)9月、サントリー「響17年」休売予定(最終出荷は8月)。
現状のところ(2月中旬現在)、いずれの休売情報も公式にはニュースリリースされておりませんが、
サントリーの社員の方から直接伺った話ですので、確報として間違いないかと思われます。
※6月6日追記:サントリーから下記の通り、公式発表(プレスリリース)がなされました。

終売ではなく休売(出荷停止)とのことで、また再開されるのではないかと希望を持ちたいところですが、
いずれも再開時期や再出荷の予定はまったくの未定とのことでした。

サントリーの通例として「響12年」や「黒角」など、
「休売アナウンス→完全終売(生産終了)」という流れが多く見られ、考えたくは無いのですが今回もその流れなのかも知れません。
リニューアルのための出荷一時停止であって欲しいのですが、残念ながら望みは薄そうです。

美味しいウイスキーを求める人間が多ければ多いほど、全員には行き渡らなくなり、飢餓感が加速する目下のウイスキーブーム。
それはこのお酒の特性(長期熟成を要する事)によるものですが、ついにニッカに続きサントリーまでもが年代表記物の本格整理に着手しました。

そこまで原酒不足が深刻という事なのでしょうが、
その副作用として生じている異常なプレミアム価格を付加する酒販店の増加や転売の横行などには危機感を抱かざるを得ません。
こうした事態がウイスキーブームを嗜好へと定着させるのではなく、むしろ将来的なウイスキー離れを生むのではないか。

今回のブームに対応して増産された原酒が、熟成時期(出荷時期)を迎えるのは2020年以降のことです。
この時期にも楽しくお酒を酌み交わせるような、そんなウイスキー文化が育まれ残っていることを願ってやみません。

2018年6月2日追記:
6月1日、ニッカはHPを更新し、ピュアモルト(PURE MALT)シリーズの出荷終了を発表しました。
グラフィックデザイナー佐藤卓による、シンプルながらも印象的なボトルデザインで、ブラック・レッド・ホワイトの三種をラインナップ。
1984年の登場以来34年にわたって愛されたシリーズでした。

実質的な休売に入ったのは3月末のことでしたが、その出荷も一段落し、今回、終売の運びとなりました。
HPに記載された「ご愛飲ありがとうございました。」の挨拶文が哀愁を誘います。
ただしニッカに問い合わせてみると「鶴」同様、余市蒸溜所・宮城峡蒸溜所での直売は継続するとの事です。
入手地は限られますが白を除く、黒・赤が販売されるという事で、少しく希望も感じられました。


<ジャパニーズウイスキー 現行ラインナップ一覧表>
・基本的に、国内にウイスキー蒸溜所を有していることが確認できる会社の定番商品のみ記載しております。
・そのため輸入原酒のみを国内でブレンドしている可能性が高い「(広義の)国産ウイスキー」については記載しておりません。
取り消し線を引いているものは2014年以降に生産終了したブランドまたは商品名です。

(留意事項)
・以下の情報は非公式情報を含みます。
・基本的に蒸留各社あるいは酒販店の方々から伺ったものですが、誤情報がある可能性も御座います。
・それにご留意いただいた上で、御覧ください。

《サントリー》
「山崎10年」(シングルモルトウイスキー)→2014年3月に終売。ノンエイジ「山崎」に代替。山崎蒸溜所。
「山崎12年」「山崎18年」「25年」(〃) →ラインナップ継続。但し、生産調整により出荷量は少なめ。
                      NA山崎の180mlベビーボトルは出荷停止中。
                     (6月中旬に一度出荷再開したものの、6月18日の大阪地震の影響によるものか、再び出荷停止となっております。)
                      加えて原酒不足のために当面の間、年間生産本数を限定するとのこと。
「白州10年」(シングルモルトウイスキー)→2014年3月に終売。ノンエイジ「白州」に代替。白州蒸溜所。
「白州12年」(〃)           →2017年6月をもって休売予定。代替商品の予定は現状ではアナウンスなし。
「白州18年」「白州25年」(〃)      →ラインナップ継続。生産調整により出荷量は少なめ。
                      NA白州の180mlベビーボトルは出荷停止中。
「知多」(シングルグレーンウイスキー)  →2015年9月1日に発売。サントリー11年ぶりの新ブランド。知多蒸溜所。
「響12年」(ブレンデッドウイスキー)  →2015年11月をもって完全終売(生産終了)。
「響 JAPANESE HARMONY」(〃)   →旧「響12年」価格帯の置き換え。「響ジャパニーズハーモニー」ではNA表記に。
「響17年」(ブレンデッドウイスキー)  →2017年9月をもって休売予定。
「響 Blender's Choice」(〃)       →2017年9月4日発売予定。「響17年」の価格帯。「響ブレンダーズチョイス」ではNA品に。
                      基本的には料飲店限定・年間数量限定品とのことで一般販売の予定なし。
「響21年」「響30年」(〃)        →ラインナップ継続。
「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「オールド」「角瓶」「トリス」「レッド」はブランド継続。

《ニッカウヰスキー》
「余市」(シングルモルトウイスキー)      →2015年9月1日にNAリニューアル版を発売。余市蒸溜所。
「余市10年」(〃)ほか             →「余市12年」「余市15年」「余市20年」を含め2015年8月に終売。
「宮城峡」(シングルモルトウイスキー)     →2015年9月1日にNAリニューアル版を発売。宮城峡蒸溜所。
「宮城峡10年」(〃)ほか            →「宮城峡12年」「宮城峡15年」など熟成年数表記品は2015年8月に終売。
「ピュアモルト」(ヴァッテッドモルトウイスキー)→「ホワイト」は終売。「ブラック」「レッド」はラインナップ継続。
                          2018年6月をもって全ラインナップの一般販売向け出荷終了。
                          ただし蒸溜所直販限定で黒・赤は継続予定。
「竹鶴」(ヴァッテッドモルトウイスキー)    →「竹鶴ピュアモルト」「竹鶴17年」「竹鶴21年」「竹鶴25年」は継続。
「竹鶴12年」(〃)               →2014年3月に終売。
「博多」(ヴァッテッドモルトウイスキー)    →地域限定品。終売。
「G&G 白びん」(ブレンデッドウイスキー)    →2015年に終売。
「ザ・ブレンド」(ブレンデッドウイスキー)   →「The Blend of Nikka」2015年に終売。原研哉デザイン。
「ザ・ニッカ」(ブレンデッドウイスキー)    →「ザ・ニッカ12年」がラインナップ継続。
「鶴」(「鶴17年」)(ブレンデッドウイスキー) →2016年以降「鶴 ノンエイジ」として蒸溜所直販限定で何度か限定復活。
                         名前の通りNV(ノンヴィンテージ)品で価格は12,960円(税込)。
                         2018年現在の生産本数は年間3,000本。月一回の入荷となっている。
「竹鶴35年」(ブレンデッドウイスキー)     →2011年をもって生産停止。
「オールモルト」(オールモルトウイスキー)   →2016年8月に終売。
「モルトクラブ」(オールモルトウイスキー)   →2015年8月に終売。
「カフェモルト」(カフェモルトウイスキー)   →ラインナップ継続。
「カフェグレーン」(カフェグレーンウイスキー) →ラインナップ継続。
「伊達」(カフェブレンデッドウイスキー)    →地域限定品。ラインナップ継続。
「スーパーニッカ」「フロム・ザ・バレル」「ブラックニッカ」「ハイニッカ」はブランド継続。
※数量限定商品としてブラックニッカ リッチブレンド エクストラシェリー が2018年5月29日に発売。
       同じくブラックニッカ ディープブレンド エクストラスイートが2018年9月11日に発売予定。

《キリンディスティラリー》
「富士山麓 シングルモルト18年」   →2015年5月に終売。代替商品の発売予定なし。
「富士山麓 樽熟50°(ブレンデッド)」→2016年3月に「富士山麓 樽熟原酒50°」へリニューアル。ノンチルフィルタード。
「ボストンクラブ」(〃)       →2016年に終売。「Boston Club 豊潤原酒(40°)」「淡麗原酒(37°)」の二種。
「オークマスター樽香る」(〃)    →2016年3月に発売。「ボストンクラブ」の代替。製造は富士御殿場蒸溜所、40度。
「エンブレム」(〃)         →2014年に終売。40度。元・特級ウイスキー。
「オーシャンラッキー ゴールド」(〃) →2011年7月に発売。メルシャン(軽井沢蒸溜所)から商標を引き継ぐ。37度。
・なお富士御殿場蒸溜所及びキリン直販「DRINX」ではシングルモルトウイスキーを含む商品が販売されています。
・定番商品としては「ピュアモルト」「シングルモルト」「シングルグレーン」「富士山麓 Signature Blend」など。

《宝酒造》
「キングウイスキー凛」(ブレンデッドウイスキー)→2016年11月に終売。
「キングウイスキー凛 <セレクト>」(〃)    →2016年11月に発売。上記商品に新たな原酒を加えたもの。
・厳密な意味での「純国産ウイスキー」かは不明ですが千葉県松戸で製造。同社系列のトマーティン蒸溜所のものかも。

《本坊酒造・マルスウイスキー》
「モルテージ駒ヶ岳10年」(ヴァッテッドモルト)→2014年に終売。
「モルテージ越百(こすも)」(〃)       →2015年7月1日に発売。旧「駒ケ岳10年」の価格帯。
「マルスエクストラ」(ブレンデッドウイスキー) →ラインナップ継続。鹿児島工場にて生産。
「マルス3&7」(〃)              →ラインナップ継続。マルス信州蒸留所にて生産。
「マルスアンバー」(〃)            →2014年に終売。全国発売版「TWIN ALPS」に代替。
「ツインアルプス(信州限定版)」(〃)     →全国発売版とは別物。新たな長野県限定ウイスキー「信州」に代替。
「岩井トラディション」(〃)          →ラインナップ継続。限定品として「ワインカスクフィニッシュ」。
・限定品として「シングルモルト駒ケ岳」や「津貫蒸溜所ニューポット」も発売。他の地域限定品として「HHAE」など。

《笹の川酒造》
「チェリーウイスキーXXV」(ヴァッテッドモルト)→2014年頃に終売。
「山桜 黒ラベル」(ブレンデッドウイスキー)   →2015年6月に発売。
「チェリーウイスキーEX」(〃)         →ラインナップ継続。
「チェリーウイスキー」(〃)          →ラインナップ継続。
・2016年、安積蒸溜所にて蒸溜を再開した。限定品として「シングルモルト山桜」などもリリース。
・2017年には、5年以上熟成を謳う「Pure Malt Yamazakura」(ヴァッテッド)も発売された。
・福島県南酒販株式会社から、笹の川酒造のウイスキーを使用したブレンデッド「963」シリーズが発売されている。
・1万6000円で参加できる一口カスクオーナー制度なども実施中。

《江井ヶ嶋酒造》
「ホワイトオーク シングルモルトあかし」(シングルモルト)→2012年11月発売。限定品のバリエーション多数。
「ホワイトオーク 地ウイスキーあかし」(ブレンデッド)  →ラインナップ継続。
「あかしレッド」(〃)                  →ラインナップ継続。
「ホワイトオーク」(〃)                 →ゴールド(39度)・レッド(37度)ともに継続。
・実はサントリーより免許の古い江井ヶ嶋酒造。2007年ごろからシングルモルトを出し、特級ウイスキーへの進出を始める。

《若鶴酒造》
「サンシャインウイスキー」(ブレンデッド) →ラインナップ継続
「サンシャインウイスキー プレミアム」(〃)→2017年新登場。限定品ワインカスクフィニッシュも発売された。
「地酒蔵のウヰスキー」(〃)        →公式通販には存在しないが、売り場ではときおり見かける。
・リニューアル稼働する富山県・三郎丸蒸溜所の新酒は「Moon Grow」などの限定品で登場中。
・改修前の焼酎用蒸留器で作ったシングルモルト「三郎丸 1990(27年熟成の限定品)」も登場した。
・改修前のものは銅釜ではなくステンレス釜だったため硫化水素臭が残り、独特の風合いだった。今後の新酒に期待したい。

《玉泉堂酒造 ピークウイスキー》
「ピーク・ウイスキー」(ブレンデッド)→自社産モルト使用。公式サイトには存在しないが、市場では比較的みかける。
「玉泉堂の地ウイスキー」(〃)    →国産グレーン使用。最近とんと見かけない。終売? 
・2015年には限定品「ピークウイスキー スペシャル」が発売された。

《宮下酒造》
・地ビール「独歩」で有名な同社。2015年から岡山蒸溜所が稼働中。
・現在のところ商品出荷は無し。

《木内酒造》
・「常陸野ネストビール」で有名な同社。2016年1月から茨城県・額田蒸溜所が稼働中。
・ネストビールを蒸留したスピリッツ「木内の雫 Alc.43°」が販売されています。
・現在のところウイスキーの商品出荷は無し。

《ガイアフロー》
・旧・軽井沢蒸溜所の衣鉢を継いだ静岡蒸溜所が2016年10月から稼働中。
・商品出荷はないが、同社の酒販網を通じたプロモーション、カスクオーナーの募集などが行われている。

《長濱浪漫ビール》
・2016年11月から滋賀県・長濱蒸溜所が稼働中。定番商品の出荷は無し。
・同社は酒販店・リカーマウンテンの関連会社であり、限定品としてニューポットなどが出荷されている。

《厚展実業》
・2016年11月から北海道・厚岸蒸溜所が稼働中。定番商品の出荷は無し。
・2018年2月27日に限定品ニューボーン「厚岸NEW BORN FOUNDATIONS1」が発売予定。

《小正醸造》
・2017年11月から鹿児島県日置市・嘉之助蒸溜所が稼働中。
・2018年夏より見学などを受付予定。

《ベンチャーウイスキー 秩父蒸溜所(イチローズモルト)》
「Ichiro's Malt&Grain White Label」(ブレンデッド)→「イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル」ラインナップ継続。
「Ichiro's Malt Double Distilleries」(ヴァッテッド) →「DD ダブルディスティラリーズ」ラインナップ継続。
「Ichiro's Malt Mizunara Wood Reserve」(〃)  →「MWR ミズナラウッドリザーブ」ラインナップ継続。
「Ichiro's Malt Wine Wood Reserve」(〃)    →「WWR ワインウッドリザーブ」ラインナップ継続。
・現状のところ秩父蒸溜所のシングルモルトは定番商品としては出荷されていない。代わりに限定商品が多数。
・その内「秩父ウイスキー祭2017(レビュー記事リンク)」はWWA2017でシングルカスク部門世界一を受賞した。
・ブレンデッドについては白ラベルの限定品「Limited Edition(紫ラベル)」が2018年2月下旬に発売予定。
・ヴァッテッドモルト三種については、2008年の稼働当初の案内では全てに「羽生蒸溜所の原酒がキーモルト」との記載があった。
・しかし最新版のパンフレットをみると、羽生蒸溜所原酒の使用が謳われているのはリーフシリーズ三種の中でも DD ダブルディスティラリーズのみとなっている。
・羽生原酒の減少ぶりが気になり秩父蒸溜所を訪れた際(見学記リンク)に伺ってみると、やはりと言うべきか「DDはいつかは無くなります」とのことであった。
・秩父蒸溜所も稼働10年。東亜酒造原酒の助走を経て、ついに単独で駆け出す時なのかも知れません。


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by katukiemusubu | 2018-02-22 17:00 | 生活一般・酒類・ウイスキー | Comments(1)
Commented by ふじわら at 2018-06-02 21:56 x
山崎、白州、180サイズも、こそっと、休売してますよ
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