【レビュー】THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY 3種

2018年(平成30年)2月27日発売。
数量限定商品「ザ・エッセンス・オブ・サントリーウイスキー」全三種の感想と評価を書き置きます。

レビュー対象の商品名は以下の通りです。
・シングルグレーンウイスキー 白州蒸溜所 ライタイプ (HAKUSHU Distillery Rye Type)
・シングルグレーンウイスキー 知多蒸溜所 〈ワイン樽4年後熟〉 (CHITA Distillery Wine Cask 4years Finish)
・シングルモルトウイスキー 山崎蒸溜所 ピーテッドモルト (YAMAZAKI Distillery Peated Malt)




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<レビュー>シングルグレーンウイスキー 白州蒸溜所 ライタイプ
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【スペック】
・アルコール度数57%、500ml、税抜価格5,000円。
・ラベルは「遊」の崩し字。
・ボトルの表記は2012年樽詰、2018年瓶詰。5~6年熟成にも思われるが、公式プレスリリースでは酒齢4年とされている。
・2010年に白州蒸溜所に新設された連続式蒸溜機(グレーンウイスキー製造設備)で製造された。
・白州の設備は知多蒸溜所のそれに比べて小規模であり、その分、機動的かつ実験的な酒づくりが出来ているのだとか。
・本作は実験作と言うべきもので、サントリーが出荷する初めての自社産「ライタイプのグレーンウイスキー」となる。
・ライ麦は冷涼な劣悪環境に強い麦の品種で、主に北米や欧州で栽培されている。
・酒類との関わりでは西部開拓時代に多用されたが、クセが強く、現在生産されているライタイプのウイスキーはそこまで多くはない。
・現在の定番商品としては「ジム・ビーム ライ(JIM BEAM RYE)」(市価2,000円)や一部のカナディアンウイスキーなど。
・ライ麦は食物繊維やビタミンBに富み、蒸留すると独特の荒々しさやスパイシー感が際立つ。

【テイスティングノート】
・穏やかなアンバーの水色。
・上立ち香はバナナを思わせるねっとりした甘い芳香。
・少しくぐもった感触を持ち、青いというより熟れきっている。
・口に含むと、落ち着いた上立ち香とは異なり、非常に若い酒精感に驚かされる。
・良くも悪くも酒齢4年。隆々とした酒精感があり喉が焼ける。
・味わいは、ライ麦らしい香辛料的なテイストが際立つ。
・ただし洋風なスパイシーさというよりも、和風な辛さの面持ちがある。
・七味唐辛子を連想させる辛味と、胡麻の様な旨味。そういった和風のスパイシー。
・余韻は甘く、朗らかに香る。キンカンの様な甘さと酸味。陽性の仕上がり。
・甘さの後にスパイシーな香味がふわりと復帰する。柚子の爽やかさが潜む。
・加水しても力強い酒精感は失われることがない。
・余韻は短め。すっぱりと後を断つ。
・全体として明るい色調を感じさせるお酒で、華やか。


<レビュー>シングルグレーンウイスキー 知多蒸溜所 ワイン樽4年後熟(こうじゅく)
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【スペック】
・アルコール度数49%、500ml、税抜価格10.000円。
・ラベルは「夢」の崩し字。
・ボトルの表記は2001年瓶詰、2018年樽詰の16年熟成。
・ホワイトオーク樽(ホッグスヘッド)で12年熟成させたグレーンウイスキーを、更に4年以上ワイン樽で後熟させた。
・知多蒸溜所はライト・ミディアム・ヘビーといった具合にグレーンウイスキーの作り分けをしているが、今回用いられたのはミディアムタイプのグレーン原酒。
・グレーンウイスキーの作り分けを行う蒸溜所は珍しく、他にはキリンの富士御殿場蒸溜所がこれを行っている。
・知多蒸溜所産のシングルグレーンとしては市販版の定番商品「知多」があるが、これはノンエイジ品。
・エイジド品としては愛知県限定品の「知多蒸溜所特製グレーン」(終売品、12年熟成)があったが、今回はこれを越える熟成年数でのリリースとなった。

【テイスティングノート】
・鮮やかなアンバーの水色。
・こってりとして芳醇な上立ち香。出来立てのレーズンバターサンド。
・長期エイジド品らしい重心の低さがある。
・口に含むと、タンニンたっぷりの赤ワインを思わせる基調香。
・口当たりは柔らかで、ほんの少しの潮気を感じる。豊満でアロマティック。
・ワイン樽が非常に力強く、味わいと香りの全体を支配している。ブランデー的な香味が広がる。
・元のワインはマルゴーのChateau Palmerと聞いたが、それも頷ける重厚な凝縮感。
・ワインらしい香味が一巡した後、グレーンらしい甘さが徐々に存在を明らかにする。
・穀物を優しく湯に溶いた、お粥の様な甘さ。余韻にはミルクを思わせる乳脂肪のニュアンスがある。
・甘い余韻。比較的短めにすらりと消える。若干の蜜感とニッキの様な甘さ。落雁。
・加水するとワイン樽の個性が際立ち、タンニンの渋さとコクが更に前面に出る。
・近いのはブレンデッドウイスキー「岩井トラディション ワインカスクフィニッシュ」。
・熟成年数の分、もちろん本作の方が円やかであり、またシングルグレーンらしい甘みもある点が特徴的。


<レビュー>シングルモルトウイスキー 山崎蒸溜所 ピーテッドモルト
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【スペック】
・アルコール度数49%、500ml、税抜価格10,000円。
・ラベルは「創」の崩し字。
・ボトルの表記は2005年樽詰、2018年瓶詰の12年熟成。
・ピーテッドと言うだけあり、かつての「白州 ヘビリーピーテッド」に迫るフェノール値という話であった。
・精細な数値は不明だが、完成後の値が、アイラ島の「ボウモア」より少し高いくらいの設定であるとのこと。
・12年、山崎蒸溜所産ということで、「山崎12年」の構成原酒の一つではないかと思われる。

【テイスティングノート】
・艶のある黄緑の水色。
・上立ち香は骨格のある煙香。ヘビーピートが圧倒的に主張する。
・しかし煙香の中に、トロンとした甘さの芳香が存在している。
・口に含むとピーテッドらしい燻香が際立ち、「ラフロイグ10年」にも似た力強さ。
・ゴワゴワした口当たりかと思いきや、しっとりとした口当たり。山崎らしい湿度感。
・スモーキーでありかつ辛口だが、しかし、優しく甘い味わいも含まれている。
・カステラ的な甘味、卵黄のコク、卵白のふわりとした加減。
・余韻は長めで、プラムの様な甘酸っぱい果実味と共に、燻した木が香る。
・加水するとさっぱり、すっきり。パインアップルの様な甘さ、カリカリに炙ったベーコンの旨味。
・アイラモルトにも似たスモーキーフレーバーを持ちつつも、しかしジャパニーズらしい繊細な香味を併せ持っている。


【総評】
・料飲店向けの数量限定商品として登場した「The Essence of SUNTORY WHISKY」シリーズ。
・全3種の全てがカスクストレングス(樽出し原酒)という尖った仕様での登場となりました。
・「古きアメリカン」(ライ麦)や「西ヨーロッパ」(ワイン樽)、「アイラ島」(ピーテッド)という文脈を踏まえつつも、日本的な要素が同時に息づいており、それぞれ個性豊かで面白い商品と言えます。
・昨今のウイスキーブームもあって料飲店でもなかなか入手困難の様ですが、山崎・白州の両蒸溜所のテイスティングバーでも数量限定で有料試飲が可能となっています(15mlで知多・山崎が各400円、白州が200円)。
・今回の三種は「第一弾」としての企画で、今後の情勢に拠っては「第二弾」以降の発表予定もあるということです。個人的にはミズナラ樽原酒を出して欲しい。

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by katukiemusubu | 2018-03-04 23:14 | 生活一般・酒類・ウイスキー | Comments(0)
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