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【レビュー】THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY 第3弾 杉樽モルト原酒シリーズ 2種

2019年(令和元年)10月29日発売。
数量限定商品「ザ・エッセンス・オブ・サントリーウイスキー 第三弾(杉樽シリーズ)」全二種の感想と評価を書き置きます。

Review:THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY 3rd Release(2019)

第一弾(2018年2月27日発売)のレビューはこちら
第二弾(2019年2月26日発売)のレビューはこちら




レビュー対象の商品名は以下の通りです。

・右:ブレンデッドジャパニーズウイスキー 〈クリーンタイプ〉
 (The Essence of Suntory Whisky Blended Japanese Whisky Clean Type Bottled in 2019)

・左:ブレンデッドジャパニーズウイスキー 〈リッチタイプ〉
 (The Essence of Suntory Whisky Blended Japanese Whisky Rich Type Bottled in 2019)

【レビュー】THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY 第3弾 杉樽モルト原酒シリーズ 2種_c0124076_21590569.jpg
サントリーの三蒸溜所(山崎・白州・知多)をそれぞれ取り上げた第1弾
山崎蒸溜所のスパニッシュオーク樽原酒をフィーチャーした第2弾

11世紀頃に北宋から日本に伝わり、江戸時代のはじめに全国的に定着した木樽の製造技術。
その主要木材となったのがスギ(杉)であり、酒樽としての使用歴は実に400〜500年に及びます。

そうした歴史を持つ和樽の主要木材を、洋樽の製造に用い、ウイスキーの熟成に当てる。
なんとも和洋折衷で面白い試みと申せましょう。
なお、サントリーでは杉樽のほか檜樽(ヒノキの樽)でも熟成を行っています※リンク先の記事の最後部を参照のこと。

今回用いられた杉樽は、鏡板のみを杉とし、胴板は楢(オーク)というハイブリッド構成です。
いわばミズナラヘッズならぬ、スギヘッズ(Sugi-Heads)。
それでも杉特有の清涼感溢れる香味が生きており、唯一無二の味わいを持ち得ています。

一つずつ、そのスペックと味わいをみていきましょう。

1.ブレンデッドジャパニーズウイスキー 〈クリーンタイプ〉
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【スペック】
・アルコール度数48%、500ml、参考価格5,000円。
・ラベルは「和」をイメージした墨アート。白地に黒、杉の若木を思わせる緑の年輪が印象的。
・キーモルトとなるのは白州蒸溜所の杉樽モルト原酒。熟成年数は6年以上である。
・これに白州蒸溜所のホワイトオーク樽原酒と、知多蒸溜所のグレーン原酒をブレンドしている。
・グレーンはライトタイプ(クリーンタイプ)のものが選定された。

【テイスティングノート Tasting Notes】
・水色は淡いゴールド。かすかに茶みがかっており、初夏の麦畑を思わせる。
・上立ち香は杉樽そのもの。鏡板だけとは到底思えない、樽詰清酒のそれである。
・清潔でウッディ、かすかにモルティ、非常にストレート。収穫後にいただくお神酒のようだ。
・とはいえ単調というわけではなく、熟成酒らしい複雑味も持ち得ている。

・口当たりは柔らかでクリーミー。それでいて淡麗辛口。
・ホワイトオーク樽由来と思しいバニリックな基調香がふわりと広がる。
・その甘味をベースに、杉樽のスパイシーな香味、チャーした樽のカラメル感が踊る。
・舌でころがすとグレーン由来の穀物の旨味が溶け出てくるが、それ以上に樽の輪郭が太くなる。
・後半になればなるほど杉樽のドライでスパイシーな印象が強まっていく。
・ウイスキーにしては珍しいほどのキレ味がある。

・杉樽モルト原酒といえば、輿水精一ブレンダーの「膳」開発秘話であるが、なるほど扱いの難しい原酒である。
・使いすぎれば杉一辺倒となってしまうし、少なければ通常のブレンデッドと変わりがない。
・その意味で、上立ち香:杉→基調香:ホワイトオーク&グレーン→後味:杉という時間差構成は面白く思われた。

・余韻はウッド。ウッディ(木のような)ではなく、シダーウッド(スギノキ)そのものである。
・キリリと短く、密やかにモルティ&ナッツの風味が残る。

・加水すると、白州18年にみられるような発酵感が現れる。凍頂烏龍茶のアロマ。
・但し、加水しすぎるとせっかくの杉樽の香りが後景に引いてしまうため、トワイスアップ程度に留めると良い。
・ハイボールにすると、どこに隠れていたのか、シナモンとドライフルーツのニュアンスが現れて楽しい。


2.ブレンデッドジャパニーズウイスキー 〈リッチタイプ〉
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【スペック】
・アルコール度数48%、500ml、参考価格10,000円。
・ラベルは「和」をイメージした墨アート。肌色の地に、年月を経た杉の大木を思わせる朱の柾目が映える。
・キーモルトとなるのは山崎蒸溜所の杉樽モルト原酒。総貯蔵年数は18年以上。
・ホワイトオーク樽で12年以上寝かせた上で、杉樽で6年以上の熟成を経ている。
・更に山崎蒸溜所のシェリー樽原酒やミズナラ樽原酒を用い、知多蒸溜所のグレーン原酒をブレンドしている。
・グレーンは長期熟成のヘビータイプ(リッチタイプ)のものが選定された。

【テイスティング・ノート Tasting Notes】
・水色はとろけるような琥珀色。美しい色をしている。
・色の濃さとしては山崎12年以上18年未満といった具合である。
・上立ち香は優美でリッチ。シェリー樽の熟した果実香とミズナラ樽の香木調の香りが際立つ。
・その香りから山崎18年と誤認しそうだが、一呼吸すると杉の香りと穀物の甘い芳香が鼻を抜けて行き、びっくりする。
・なるほどシングルモルトではなくブレンデッド、それも杉樽熟成原酒を用いたブレンデッドウイスキーなのだ。

・蜜のように優しく広がる口当たり。
・ドライフルーツ、とりわけアプリコットとレーズンのアロマ、ほのかにメロンも感じられる。
・この果実香が基調香かと思ったら、リッチな穀物の旨味があらわれ、それを合図に樽香の四重奏カルテットが奏でられる。
・はじめにミズナラ樽の伽羅香、続いてホワイトオーク樽のバニラ香と甘味、シェリー樽のコク深さ、清潔な杉樽の香り。
・舞台の緞帳の様にふんわりと、しかし確かに織り重なっていくのである。
・なんたる変幻、なんたる多彩!

・キーモルトは18年以上熟成であるが、酒精の刺激が少しくある。平均酒齢そのものは12年〜15年程であろうか。
・今少し熟成感があれば、絶代のブレンデッドウイスキーだったであろう(現状でも十分美味しいが)。

・杉樽原酒がソリストの様に活躍するクリーンタイプとは異なり、リッチタイプの杉樽原酒はいわば首席奏者である。
・個性的でありながらも全体をまとめ上げる力量を持つコンサートマスター。
・和洋ということもあってか、オーストリアのライナー・キュッヒル氏のことを思い浮かべた。

・余韻は長く、意外にも男性的でマッシブ。シェリー樽熟成原酒の風味がありながらもメロウではないのだ。
・ライチや完熟ブドウを思わせる甘さと酸味のバランスが取れた果実感。加えて重厚な樽香が色濃く続く。
・芳醇旨口。それでいながら杉の爽やかな含み香がすらりと立ち、ドライな余白をも併せ持っていた。

・加水するとフルーティーさが際立ち、杉樽の風味はぐっとマスキングされる。スウィートでコクがあり、やわらかくオイリーな味わい。
・基本的にはストレートがお勧めの飲み方であるが、樽の影響であろうか、加水時に墨(炭ではなく墨)のニュアンスが現れるのが興味深かった。

【総評】
・「The Essence of SUNTORY WHISKY」シリーズも第三弾となりました。
・新元号「令和」を記念してか、「和」の意匠をまとっての登場であり、中身も杉樽熟成原酒という日本独自の樽材(Japanese Cedar)を使用した「和」の仕様。
・杉樽と他の樽が調和するリッチタイプは正統派の美味しさであり、クリーンタイプは杉樽の風味が際立ったスリリングで実験的な味わいです。
・ミズナラ樽だけではないジャパニーズウイスキーのユニークな熟成環境が味わえる興味深い品々でした。
・料飲店限定商品のためか、今回の発売にあたってはメーカー公式のニュースリリースはなされず、ひっそりとHPが更新されたのみ。
・次のリリースは2020年となりましょうが、白州蒸溜所が出るのか、それとも知多蒸溜所か、はたまた新たなブレンデッドか、今から楽しみです。

by katukiemusubu | 2019-11-30 01:29 | 生活一般・酒類・ウイスキー
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